ミランのインザーギ監督が因縁のユベントスのアッレグリ監督と公式戦で初対戦 「より優秀な試合をした者が勝つ」

「引退は君のせいだ」

 ACミランのフィリッポ・インザーギ監督は現役時代に指導を受けたユベントスのマッシミリアーノ・アッレグリ監督とかつて確執があったことを認めた。昨年までミランの監督を務めていたアッレグリとの出会いが彼の引退の引き金となったのだ。若き指揮官は、かつて指導を受けた敵将についてこう口にした。
「アッレグリ監督とは、僕の監督だった人。時には不理解もあったが、明日は対戦する。いい試合をしたい」
 インザーギとアッレグリは、現役時代に起用法を巡り、衝突を繰り返した過去があった。2010年11月に左膝前十字靱帯損傷でリハビリの苦しみから抜け出した名ストライカーは、アッレグリという壁に直面した。戦力として重用されず、ピッチ内外でたびたび対立を繰り返した。11-12シーズンを最後に、ミラノを離れることも視野に入れていたが、周囲の説得と愛情がそれを上回ってミランで現役を終える決断を下した。
 2012年7月に引退後、ミランの下部組織の指導者に就任した際、アッレグリが視察に訪れると、口論に発展した。「引退しなければいけなかったのは君のせいだ」と言い放つなど、その関係は冷め切っていた。
 だが、お互い立場は変わった。トップチームの指導歴のない伝説のストライカーはミランを率い、成績不振で昨季ミランを追われたアッレグリ監督はセリエA3連覇中のユベントスの監督となった。そして、20日、サンシーロで相まみえる。
「監督はそれぞれスタイルが違うので、コピーはできない。選手たちはそういうことに気付くから。アッレグリ監督はとても細かく準備する優秀な監督。アントニオ(コンテ、現イタリア代表監督)監督には高い評価をしている。明確な価値をユベントスに与えた。明日はアッレグリ監督と再会できることはうれしい。より優秀な試合をした者が勝つ」
 開幕前のTIMカップではMF本田圭佑のゴールでユベントスを撃破したインザーギ•ミランだが、親善試合の結果に意味はない。カンピオナートでの勝敗こそが全て。インザーギ監督は私怨を捨て、かつてのように虎視眈々とゴールをうかがう、百戦錬磨の勝負師の目になっていた。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

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