清水が攻守に課題露呈 “昇格組”徳島に3失点完敗、見せつけられた「成熟度の差」

今シーズン2度目の完封負けで黒星が先行【写真:Getty Images】
今シーズン2度目の完封負けで黒星が先行【写真:Getty Images】

【J番記者コラム】3週間ぶりのホームで完敗、守備面の狙いがハマらずに失点重ねる

 前回は桜の花がまだつぼみの状態の3月中旬だったが、すでに満開を過ぎ、散り始めた3週間ぶりのホームゲーム。公式戦2連勝と調子を上げて戻ってきたチームにホーム初勝利を期待して来場した清水エスパルスのサポーターだったが、内容、結果ともに「満開」とはならない試合になってしまった。

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 開幕からカップ戦も含めて28日間で8試合という過密日程を終え、1週間の間隔が空いたことでこれまでの課題を修正するための時間が取れ、「攻守にわたって我々の大事な部分、引き続きやってきている我々の哲学をしっかりと落とし込んでトレーニングをやった」と、前日の会見でミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は話していたが、前節にJ1ホーム初勝利を収め、この試合でクラブ史上初のJ1での2連勝を狙う徳島ヴォルティスの勢いの前にその片鱗を見ることはできなかった。

 お互いに前線からのプレスをかけ主導権を握ろうとする両チームではあったが、昨年にJ2で優勝したメンバーがほぼ残った徳島と、只今絶賛トレーニング中の清水ではその成熟度に差があった。スペースの使い方と相手が嫌がるポジショニング、前線からのプレスの剥がし方は明らかに徳島に分があった。前半28分に徳島に先制点を奪われた場面でも、清水がプレッシングを強めようとMF河井陽介とMF竹内涼の2ボランチが前に出たところを剥がされ、ボランチと最終ラインの間に空いたスペースを使われてしまった。そこから徳島FW宮代大聖に抜け出されミドルシュートを打たれるが、一度はGK権田修一が弾くもののこぼれ球を再び宮代に押し込まれ、あっさりと先制点を献上してしまった。

 ボールを持つことで守備をしなくて済む「ポゼッションサッカー」を目指す清水だが、相手よりボール支配率で上回る試合はなく、この試合でも同様の展開となった。しかし、これまでの試合では中央をしっかりと固め簡単にやられることも少なかった。それがこの試合では失点の場面だけではなく、何度となく中央からゴール前まで迫られるシーンがあり、特に戦い方を変えたようには見えなかったが、「自分たちのプレスのプランが上手くハマらず、中途半端なポジションを繰り返し取ってしまった」とMF竹内涼は話した。

 徳島のビルドアップを狙い、高い位置でボールを奪って攻撃につなげたかったのかもしれないが、逆に2失点目も徳島のハイプレスに苦しみ、バックパスを権田が前線に蹴ったボールのスローインから攻撃され、徳島FW垣田裕暉のアーリークロスを並走していたDF鈴木義宜が胸で止めようとしたが、これがハンドの判定。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)は主審にレビューを提案し、アイスタでは初となる「オンフィールドレビュー」で確認。4分もの時間をかけた笠原寛貴主審の最終的な判定は「ハンド」となり、これを徳島MF岩尾憲にプロ11年目にして自身J1初ゴールとなるPKを、GK権田の動きを確認してゴールのど真ん中へ決められた。

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下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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