欧州列強の現在地は? “波乱”ドイツの意外な起用法と“脱ロナウド”ポルトガルの充実

3試合を終えてグループAの首位ポルトガル代表(上)とグループJの3位ドイツ代表【写真:Getty Images】
3試合を終えてグループAの首位ポルトガル代表(上)とグループJの3位ドイツ代表【写真:Getty Images】

開幕したW杯欧州予選を“ナナメ観戦”、強豪7カ国の現状をチェック

 カタール・ワールドカップ(W杯)欧州予選が始まっている。3月25日から4月1日の8日間で各チーム3試合ずつを一気に消化。そのすべてをじっくり見る時間はもちろんなく、ナナメに見た程度だが「あ、今はこんな感じなのね」というところに絞って記してみたい。

■フランス
 世界王者のフランスは2勝1分でグループDの首位。メンバーはロシア大会の時と大きく変わらず、システムも4-2-3-1で同じ。キリアン・ムバッペ次第という印象だった。

 第3節のボスニア・ヘルツェゴビナ戦(1-0)では、ムバッペの1トップでスタートしてみたが攻撃が行き詰まりがち。後半にオリビエ・ジルーを投入してムバッペを左へ移した途端に攻撃が活性化、すぐに決勝点となるアントワーヌ・グリーズマンのゴールに結びついている。

 ムバッペは前向きにプレーした時に真価が出る。サイドでDFと対峙する形のほうが明らかに相手への脅威は増していた。ムバッペにまともに走られたら止めようがないので、対峙する選手の背後にも援軍を出す。そうすると、ムバッペが簡単にパスを捌いて中へ動くだけでもサイドががら空きになっていた。3人ぐらいはムバッペの中央へのランに引っ張られる。これだけでもずいぶん違う。

 前半はU字型にパスを回しながら包囲攻撃していたフランスだったが、そこから中へはなかなか入れていない。外側でボールを動かすだけでは守備ブロックがまったく崩れないからだ。それが、ムバッペがサイドでその速さの片鱗を見せただけでブロックが偏ってパックリとスペースができる。スーパースターの威光といったところか。

■ドイツ
 第3節のホーム、北マケドニア戦(1-2)を落としてニュースを提供したドイツ。そのせいで目下グループJの3位である。ただ、そんなに心配することもないだろう。

 マケドニア戦はカイ・ハフェルツとイルカイ・ギュンドアンが2シャドーに入る3-4-2-1を試したのだが、これがあまり機能しなかった。ただ、これ以外の2試合は危なげないプレー内容で、5レーンを合理的に使った攻守に安定感もあり、代表チームの中でもたぶん最もモダンなスタイルだと思う。

 少し意外だったのが、センターフォワード(CF)にセルジュ・ニャブリを起用していたこと。バイエルン・ミュンヘンではウイングが定位置の選手だ。悪くはないが、ムバッペのCFと似ていてニャブリのスピードがCFでは生きていない。ヨシュア・キミッヒが中盤の底、相棒にレオン・ゴレツカ、ウイングにレロイ・サネと相変わらずのバイエルン仕様だが、ロベルト・レバンドフスキがポーランド人なので当然使えない。ドルトムントのアーリング・ブラウト・ハーランドはノルウェー代表。ニャブリのCFは、単純に人材不足ということなのかもしれない。

 エムレ・ジャンはセンターバックだった。MFのイメージが強いが普通にやっていた。10番をもらっていたハフェルツは期待が大きそうだが、まだこれといった活躍はできていない。

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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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