覇気なき韓国に圧勝も…心許ない日本の現状 「普通のサッカー」に輝く未来はあるか

同じような場所にいる韓国には勝てたが…

 日本も韓国も、目指すサッカーにそんなに違いはないと思う。現代サッカーの標準型であり、日本の場合は強化方針も代表のグローバルスタンダード的な手順を踏んでいる。ひどくざっくりした言い方になるが、いわば「普通のサッカー」だ。

 普通のサッカーが悪いわけではない。普通のサッカーはまとめやすい。普通でない選手がいれば十分威力を発揮できる。レアル・マドリードもバイエルン・ミュンヘンもマンチェスター・ユナイテッドもそれで強いわけだ。

 ただし、日本がそれでどこまで行けるかは心許ないところもある。もしかしたら、世界的にもスーパーな存在であるソン・フンミンのいる韓国のほうが可能性はあるかもしれない。日本代表のあり方は主力のほとんどが国外にいるフランス代表と似ているが、フランス代表選手はいずれもヨーロッパのトップクラスのクラブでレギュラーを張っている“普通ではない”選手たちである。

 日本もフランス方式で選手のスケールアップを待つのか、それともかつて単独クラブのサッカーを移植して世界標準の先へ行ったスペイン、ドイツに倣うのか。それとも第三の道があるのか――。同じような場所にいる韓国には勝てたが、立場はそんなに変わらないのかもしれない。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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