日本サッカーのベースアップへ 今季から始動のJエリートリーグ挑戦の意義

浦和は平川コーチが“監督”を務めた【写真提供:ⒸURAWA REDS】
浦和は平川コーチが“監督”を務めた【写真提供:ⒸURAWA REDS】

若手をベースにしながら多様な経験を積む舞台に

 1点差でリードした残り5分、浦和は関根や宇賀神といった選手たちが敵陣で相手に楽なボール保持を許さない全力プレスを掛け、ボールを奪ってはファウルをもらうプレーもあった。塩田からは集中の抜けたプレー、一つのプレーの後に休んでしまうような面を見せた若手に厳しい声も飛んだ。また、負傷から復帰途上にあったDF藤原優大もプレーする機会を得た。そうした意味で、エリートリーグに参加する意義を感じさせた。

 一方の札幌は、岡村の他にMF柳貴博、GK大谷幸輝、GK阿波加俊太を除く選手たちはすべて21歳以下で構成し、チームの約半分はユース所属選手だった。そういった選手たちが浦和の阿部や関根といった日本代表や海外クラブでのプレー経験を持つ選手たちと対峙する機会を得たことも有意義だろう。どちらのチーム構成が必ずしも正解ということではなく、いろいろな考え方でエリートリーグに臨むクラブがいるからこそ、若手をベースにしながら多様な経験をできるとも言えるだろう。

 平川監督が「試合前に写真撮影があることもそうですが、いろいろな部分で(練習試合との)違いはあります。両ベンチも熱が入ってきましたし、そういった面でも選手たちに熱が入っていった」と話したように、主審の判定に札幌のベンチから声が上がって、浦和の選手が反応する公式戦らしい場面もあった。そして、この日の試合で主審を務めたのは女性レフェリーとしてJリーグデビューが期待される山下良美氏だった。

 日本代表や東京五輪世代のU-24日本代表が活動している裏側での開催となったが、日本サッカーのベースアップにつながるJリーグの試みが始まっている。このエリートリーグを飛躍のきっかけにする選手が現れるのが楽しみだ。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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