日本サッカーのベースアップへ 今季から始動のJエリートリーグ挑戦の意義

北海道コンサドーレ札幌と対戦した浦和レッズ【写真:轡田哲朗】
北海道コンサドーレ札幌と対戦した浦和レッズ【写真:轡田哲朗】

浦和は平川コーチが“監督”として采配

 今季から始まったJエリートリーグのA組第1節、浦和レッズと北海道コンサドーレ札幌の対戦が28日に行われ、浦和が3-2で勝利した。U-21世代の選手3人以上のスタメン起用が義務づけられ、ユース所属選手や練習生の参加も認められる新たな試みとなっている。

 これまでFC東京やセレッソ大阪、ガンバ大阪がU-23チームを結成してJ3に参戦したことはあったが、今回の試みはそれと異なる。リーグのレギュレーションとしてU-21世代の選手3人以上のスタメン起用を義務づけられているものの、ベテラン選手の出場に人数制限などはない。実際、前日にルヴァンカップのグループステージ第2戦で柏レイソルと対戦した浦和は、今季中に40歳を迎える主将のMF阿部勇樹と、青森山田高から加入2年目の19歳MF武田英寿がダブルボランチを組んだ。

 また、浦和は平川忠亮コーチ、札幌は四方田修平コーチが監督として指揮を執ったのも特徴だろう。特に浦和の平川コーチは、浦和一筋のキャリアで2018年に引退し、翌年からコーチを務めるなかで監督は初の経験になった。リカルド・ロドリゲス新監督は「彼は監督としての経験を積んでいく。私にとっても連戦が続くなか、外から試合を見られるという良い機会になる。平川コーチにもキャリアを積んでいってもらいたい」と話していた。そういう意味でも、育成の機会という側面が強い。

 試合自体は前半にMF田中達也のアシストからFW武藤雄樹、武田のアシストからDF宇賀神友弥がゴール。後半にはMF関根貴大のパスカットから武藤が決めて浦和が3得点。T対する札幌は、前後半に1本ずつコーナーキックからDF岡村大八がヘディングシュートを決めた。すでにプロのピッチで出場機会のある選手たちが結果を残したと言えるかもしれない。一方で、両クラブともに大学に在学中の練習生やユース選手も出場させた。その意味を、“平川監督”はこう語る。

「やはりメンバーの中に、シオ(GK塩田仁史)がいたり、ウガ(宇賀神)がいたり、阿部(勇樹)がいたりというのが非常に大きいし、彼らがいたことで若手に安心感を与えられたと思います。エリートリーグの目的として若手育成ということがありますが、ああいった経験を持った選手たちと一緒にプレーできることが若手を育てることに役立つと思います。それを今日の試合で非常に大きく感じました。

 苦しい時間帯もあり、同じようなセットプレーから失点もしましたが、ベンチ側からの発信ではなくシオからの発信で修正してくれました。それもシオ、ウガ、阿部がいる部分が大きかったと思います。そのおかげで3失点目がなかったのだと思っています。今日の結果を見て、若い選手たちは言われていることだけではダメだと、プラスアルファで何かできることがあるのでは、と考えるきっかけになったのではないかと思います」

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