「疑問があるのは事実」 元Jリーグ得点王の韓国英雄、日本戦の歴史的完敗に苦言

「韓国はブラジルやスペインのように世界最高クラスのチームではない」

 ファン・ソンホン氏も、今回の韓国には何もかもが足りないというのが正直なところだろう。そのうえで、「時代が変わっても変わらないものがあります。韓日戦だからといって、毎回、勝てません。しかし、声援を惜しまず送る人たちのように、最後まで力を出し尽くしたのか振り返る必要があります。外から見ていた1人の国民として、疑問があるのは事実です」と語る。

 ポルトガル人のベント監督は後方からのビルドアップから、パスをつないで攻撃を展開するポゼッションサッカーを好む。これが韓国サッカーの良さを消してしまっているという声もあるほどだ。この点についても、ファン・ソンホン氏はこう指摘している。

「後方から短いパスで攻撃を展開するサッカーが良くないというわけではありません。ボールを長く持つことで、試合を支配すれば勝率を上げることができるのは事実です。しかし、毎試合、違うチームを相手にしながら同じサッカーだけに固執はできません。韓国はブラジルやスペインのように世界最高クラスのチームではありません。時には単純で、激しく当たるサッカーを見せる必要もあります。韓日戦だけを見て言っているのではありません」

 球際やフィジカルの強さ、試合を最後まで諦めない姿勢が韓国サッカーの良さではないか。そうして、これまで日本を苦しめてきた記憶を韓国国民の誰もが持っている。ファン・ソンホン氏の厳しくも愛のある言葉は、現在の代表チームに届くだろうか。

(金 明昱 / Myung-wook Kim)



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金 明昱

1977年生まれ。大阪府出身の在日コリアン3世。新聞社記者、編集プロダクションなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めた後、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。2011年からは女子プロゴルフの取材も開始し、日韓の女子ゴルファーと親交を深める。現在はサッカー、ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。近著に『イ・ボミ 愛される力~日本人にいちばん愛される女性ゴルファーの行動哲学(メソッド)~』(光文社)。

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