「疑問があるのは事実」 元Jリーグ得点王の韓国英雄、日本戦の歴史的完敗に苦言

柏やC大阪で活躍したファン・ソンホン氏【写真:Getty Images】
柏やC大阪で活躍したファン・ソンホン氏【写真:Getty Images】

ファン・ソンホン氏も日韓戦の内容にショック「気持ちがよくない」

 3月25日に国際親善試合として10年ぶりに開催された日韓戦。結果は日本代表が3-0で快勝したが、韓国側からすれば歴史的大敗だ。ライバル心をむき出しにして、これまで何度も日本の前に立ちはだかってきた“アジアの虎”は、結果だけでなく、試合内容にも何も収穫がなかったと言えるだろう。

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 FWソン・フンミン(トッテナム)、FWファン・ヒチャン(RBライプツィヒ)、FWファン・ウィジョ(ボルドー)など主力の欧州組を欠いていたとはいえ、選ばれた選手たちは国家の威信を背負い、戦い抜く気概を見せないといけない。しかし、気迫や闘志は失点を重ねるにつれて、完全に空回りしていた。

 連日、韓国メディアはパウロ・ベント監督や選手たちのプレー内容に批判を浴びせ続けているが、かつての韓国代表OBたちも今回の結果に対してはかなりショックを受けているようだった。ファン・ソンホン氏もその1人だ。

 日本のサッカーファンなら記憶している人も多いだろう。セレッソ大阪、柏レイソルでプレーし、1999年にはJ1得点王に輝いた元Jリーガーであり、韓国代表FWとして1988年から2002年までAマッチ103試合に出場し、50ゴールを決めたストライカーだ。1990年のイタリア・ワールドカップ(W杯)、94年アメリカW杯、2002年日韓W杯に出場している。さらに韓国では“韓日戦の男”と呼ばれるほど、日本戦にはめっぽう強かった。ファン・ソンホン氏は出場したAマッチの日本戦4試合で5ゴールを決めており、すべてが決勝点。つまり、日本に敗れた記憶がない。

 今回の日韓戦についてファン・ソンホン氏が、韓国のスポーツチャンネル「MBCスポーツプラスニュース」で様々な感想を語っていた。

「代表チームは国民の声援を受けるチームです。相手が日本であれば、ほかに言葉は必要ありません。死ぬ気で戦いました。主審が試合終了の笛を吹くまで止まりませんでした。試合を見守る間、気持ちがよくありませんでした。韓国は戦術、組織力、個人の技術、勝利に対する意地などすべての面で日本に押されていました。何一つ、我々が良かったと言えません。弁明の余地がない完敗でした。どのような言葉を、どのようにすべきか、正直よく分かりません」

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金 明昱

1977年生まれ。大阪府出身の在日コリアン3世。新聞社記者、編集プロダクションなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めた後、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。2011年からは女子プロゴルフの取材も開始し、日韓の女子ゴルファーと親交を深める。現在はサッカー、ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。近著に『イ・ボミ 愛される力~日本人にいちばん愛される女性ゴルファーの行動哲学(メソッド)~』(光文社)。

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