JFAが歩むパートナー企業との“二人三脚” JFA価値共創活動で未来へ…宮本会長が描く人と人の「つながり」

日本サッカー協会が取り組む「JFA PARTNERSHIP PROJECT for DREAM」

 日本サッカー界を次なるステップへ——。日本サッカー協会(JFA)は宮本恒靖会長の就任2期目がスタートし、変革の時を迎えている。元日本代表キャプテンが掲げたテーマは「挑戦と実行」。北中米ワールドカップで世界に名を知らしめる日本代表の躍進、かつての戦友たちの指導現場への復帰、さらには国を巻き込んだ国際大会の招致活動……。ピッチ内外で並行して走る多岐にわたる施策のなかで、宮本会長が「サッカー界の土台を支えるために不可欠」と断言するのが、パートナー企業とともに“価値共創”を目指す取り組み「JFA PARTNERSHIP PROJECT for DREAM」だ。スタジアム看板などの単なる企業ロゴ露出のみのスポンサーシップを超え、なぜJFAは企業とともに汗を流すのか。宮本会長が、その本質と未来について語った。

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 激動の1期目を終えて、2期目の舵を切り出した宮本会長。その表情には組織を牽引するリーダーとしての確固たる覚悟が滲んだ。1期目で見えた課題をどう捉え、次なるフェーズへと向かおうとしているのか。

「課題というよりは、1期目は自分自身が会長という仕事を実際やってみて理解していく時間が必要だった。47都道府県すべてのサッカー協会を訪問するなかで人を知り、自分を知ってもらい、地域の課題を収集する時間が多かった。だから、課題というよりは『実行に移すフェーズがなかった』という意味で、今後は『挑戦と実行』という表現をしました。課題と言ったら、いっぱいあるんですけどね」

 集めた課題に対して、次々と手を打っていく。その目まぐるしい日々を支えるのは、現役時代から変わらない「現場主義」のメンタリティーだ。

「感覚はやっぱり(踊る大捜査線の)織田裕二さん(笑)。『事件は現場で起きている』みたいな。冗談じゃなく、本気で見て、知って。この間もU-17の男子や女子、U-20の女子のチームを見に行ったけど、やっぱり行くことで会話もできるし、選手の素顔を知ることができる。そこから得られるヒントがすごくある。実際にコミュニケーションを取ることが重要だと思っているから、そこは大事にしたい。大変ですけどね」

 現場を重視する姿勢は、日本代表の強化現場にもダイレクトに反映された。SAMURAI BLUEコーチに中村俊輔氏、なでしこジャパン(日本女子代表)コーチに内田篤人氏、U-20日本代表監督に山口智氏など、世界トップを知る元選手が次々と就任し、各カテゴリで現場の指導に入っている。

JFA PARTNERSHIP PROJECT for DREAM。 2050年ワールドカップ優勝のために。想いだけでは、優勝できない。強くなるための、道からつくる。
JFA PARTNERSHIP PROJECT for DREAM。 2050年ワールドカップ優勝のために。想いだけでは、優勝できない。強くなるための、道からつくる。

躍進する日本サッカー、宮本会長が力説する「土台」の重要性

「(内田)篤人や(中村)俊輔、(山口)智も来てくれた。結果に繋がるかどうかは置いておいて、グループのなかに経験値のある人がいるというのはやっぱり大きい。いろいろな安心感や、これまでの経験を伝えてもらえるメリットは非常に大きい。いまSAMURAI BLUEでも、森保監督が様々なコーチを呼んで、持っている良さを組み合わせて、強い代表にしたいというなかで、長谷部(誠)も加わり、段階的に『肉付け』がされている。(各コーチの働きにより)戦術的な変更や相手への対応が早くできるようになっていると報告を受けているし、それぞれの力がうまく活きているなと感じます」

 日本代表の躍進は世界からの視線も変えた。ワールドカップのグループステージ初戦で対戦するオランダの協会会長からは「俺らはシリアスに日本を研究しているからな」と声をかけられたという。それほど、世界における日本サッカーの立ち位置は上がっている。

 しかし、宮本会長が見据えるのは、その華やかなトップチームを支える「ピラミッドの土台」の存在だ。

 日本サッカーの価値を商業的にも社会的にも高めていく。宮本会長はその循環を生み出すための財源として、「原資」の重要性をこれまでも発信してきた。

「原資は必要。単にJFAが利益を得るわけではなくて、パートナー社からの協賛金や役務を循環させて、サッカー、特に選手育成や各地域における普及活動(グラスルーツ)にしっかりと還元していく必要と責任がある。そのために、長期のパートナーシップ契約を増やし、日本サッカーを応援していただく仲間を増やしていくことが重要になる。我々が地道にやっていくことで、理念の実現に繋がっていく」

「家族がチームになる日」をコンセプトに実施しているウォーキングフットボールイベント「キリンファミリーチャレンジカップ2025in北海道」
「家族がチームになる日」をコンセプトに実施しているウォーキングフットボールイベント「キリンファミリーチャレンジカップ2025in北海道」

 その象徴となるのが、2023年4月にローンチされた「JFA PARTNERSHIP PROJECT for DREAM」。従来の「大会に協賛していただき、スタジアム看板などに企業名を露出する」という形ではなく、企業側がやりたいことや抱える課題と、JFAの理念を“価値共創”をテーマに合致させていく試みだ。社会貢献にとどまらず、サッカーを中心としたつながりを生み出す活動はポジティブな要素を与える。

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「広がりで言うと、枝葉、根が広がっていくようなイメージ。最初はお互いにどういう形があるかを考えていたけれど『あ、こういうやり方もあるよね』と可能性がすごく探れるようになってきた。例えば、キリンさんと取り組んでいるウォーキングフットボールには、人と人をつなぐ力がある。その他では、熱中症対策を伝えたいコールマンさんと、我々の伝えたいところが合致したり、ニチバンさんとメディカルキャンプをやってトレーナーを育て、サッカーファミリーが怪我なくプレーできる知識を普及させたり。形がいくつもできてきた。

 サッカー界に何か協力したい、貢献したいと思ってくれている人たちは一定数いる。大きな協賛金は難しくても『これがやりたい』というイメージが合致して、相乗効果を生み出せる。『夢には仲間がいる』というのはいい言葉だなと思っていて、世界観を一緒に持つことができる」

 コールマンとの取り組みは、小学生の大会を視察に行った際に子どもたちが使用するクーラーボックス、保護者が観戦の際に使用していたチェアなどを見て「親和性が高い」と実感したところからスタートした。サッカーを通じた人と人とのつながりを起点にしたコミュニケーション。それは、宮本会長が1期目に現場を回りながら最も大切にしてきた根幹の部分でもある。

人と人とのつながりから“価値共創”へ「できた関係性を大切にしたい」

 プロジェクトのなかには、参加者の命に直結するような重要な活動もある。フランクリン・ジャパンとともに行っている、落雷の可能性や事故防止に対する施策はその1つだ。

「雷は本当に怖い。僕もガンバ大阪ユースの監督時代に練習場でいきなりドーン!と雷が落ちたのを目撃したことがある。普及や育成という、自分たちが永遠に大事にしていかなきゃいけない『ダブルピラミッド』の土台のところを支えてもらうプロジェクトだからこそ、できた関係性を大切にして、コミュニケーションをしっかり取ってやっていきたい」

 足元の草の根を固める一方で、視線は未来にも向いている。1期目の就任当初から掲げていた「ビッグイベント」の開催だ。国内での熱狂の再来に向け、2046年ワールドカップ、32年か36年のアジアカップ招致に力を入れる。

「2046年に向けて準備していく必要があるけれど、まずは2032年か36年のアジアカップを日本に招致しないと次に繋がっていかない。国際大会の招致は、関係団体が一丸となって推進していかないといけない。この1か月の間だけでも議員の勉強会に3回くらい行って、国へも要望を伝えている。例えば海外の代表戦に行ったら警察によるエスコートがつくけれど、日本ではなかなか難しいので」

 世界のトップで戦う日本代表の輝きも、企業の思いを形にする取り組みも“現場”の土台があってこそ。つながりが広がり、日本サッカーは強くなる。無限の可能性へ——。ファミリーが一丸となって未来を築き上げる。

■「JFA PARTNERSHIP PROJECT for DREAM」紹介ページ
https://www.jfa.jp/partnership/



(FOOTBALL ZONE編集部)