韓国には「絶対に負けてはいけない」 元日本代表MF福西崇史が語る日韓戦の“重み”

日本代表と韓国代表が激突する【写真:Getty Images】
日本代表と韓国代表が激突する【写真:Getty Images】

現役時代に日韓戦を2度経験、ライバル韓国が放つ圧倒的な“熱さ”の記憶

 日本代表と韓国代表が激突する「日韓戦」が、いよいよ25日に日産スタジアムで開催される。日韓戦は2019年12月に韓国で行われたE-1選手権以来だが、国内で行う国際親善試合としては実に10年ぶり。リアルタイムスポーツ実況アプリ「GayaR」(ガヤール)で、この試合をボランチ視点で解説する元日本代表MF福西崇史氏は、現役時代に2003年4月16日のアウェーゲーム(1-0)と同年12月10日のホームゲーム(0-0)に先発出場している。日韓戦の“重み”を知る名ボランチに、今回の一戦の注目ポイントを訊いた。

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 日本代表にとって韓国代表はライバルであり、絶対に負けてはいけない相手です。それは先輩方から伝えられてきたものでした。といっても、日韓戦に向けた代表に選ばれた時に、個別に連絡があったわけではありません。それでも僕らの時代は、「日韓戦の意味は分かっているよね」という無言のプレッシャーがありました。それは日本代表だけではなかったと思います。韓国代表の選手たちも「日本にだけは絶対に負けるな」という重圧があったはずです。

 日韓戦の圧倒的な熱さというのは、両国にとってはもちろん、アジア地域にとっても不可欠なものだと思っています。韓国が頑張るからこそ、日本も頑張る。日本が頑張るからこそ、韓国も頑張る。ライバル関係にある両国が争い、競い合うことで、そうした相乗効果があり、両国、さらにアジアのレベルアップにつながってきたはずです。

 今回の日韓戦は親善試合です。通常の親善試合であれば、中4日で行われるワールドカップ(W杯)アジア2次予選のモンゴル戦に向けた試金石と捉えられるでしょう。しかし、日韓戦になると、少なくとも僕が代表にいた頃は、絶対に勝利が求められていました。ほかの試合以上に「絶対に勝つんだ」という気持ちで臨んでいましたし、それは相手からも伝わってきました。

 たとえば、韓国のサッカーが変わりつつあった時の試合では、「以前よりもつないでくるのかな」と予想をしていたのですが、いざ試合が始まると、日本戦だけは以前のようにロングボールを放り込んでくる戦い方を仕掛けてきたり、球際の強さがいつも以上だったりしたことは、普通にありました。

 韓国も、この試合に特別な想いを込めていることは明白です。今回、最終的には負傷で辞退することになりましたが、トッテナムのFWソン・フンミンを招集しようとしていました。負けたら絶対に批判を受けますし、世論を意識しているところはあると思います。日本も、韓国も、大敗でもしようものなら、W杯を含めて「大丈夫か?」という論調になるでしょう。それがあるからこそ、ソン・フンミンを呼ぼうとしていたところもあると思いますし、互いが負けられない戦い、ライバル国同士の戦い、これが日韓戦だよということですね。選手としても日韓戦を戦ってきた森保監督も、そこはしっかりと伝えるでしょう。

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