「日本人かどうかは重要じゃない」 堂安&奥川、互いを認めドイツで高め合う2人

ザルツブルク出身の新監督、奥川にとって追い風になるか

 日本人選手同士だからコンビで使われるなんて保証はない。まして2人のポジションは被る。ほかの選手が活躍したら、どちらかしか出られないということだって普通にあるのだ。

 厳しいポジション争いに勝ち残り、ピッチに立つ権利を手にし、そして結果を残していかなければならない。プロの世界の不文律だ。そのうえで、2人が一緒にピッチの上でプレーをし、クラブの残留に貢献する活躍ができたら、それは本当に素晴らしいことだろう。

 そんなビーレフェルトでは3月1日に監督交代が発表された。ウーベ・ノイハウス監督が解任され、フランク・クラマーが新監督となった。成績不振に加え、育成クラブとしての哲学があるなかで十分に若手選手に出場機会が与えられていなかったというのが、解任理由とされている。

 クラマーはホッフェンハイムで暫定監督を務めたほか、2部リーグのグロイター・フュルト、デュッセルドルフ、そしてドイツU-18からU-20までの年代別代表で監督を歴任した後、ザルツブルクの育成アカデミーチーフ、そしてU-19監督として活躍していた。

 サミア・アラビ強化部長は「育成部門とプロ部門と両方で経験豊富な監督だ。専門知識が豊富で分析力に長けた彼は、アルミニアが目指す道と合致すると思うし、次のステップに進むために必要な人材だと確信している」と期待を口にしている。奥川にとっては同じザルツブルク出身の指導者が来たことで、監督が求めるサッカーを体現しやすいというメリットを持っているだけに、ここから出場機会が増えてくる可能性は十分に考えられそうだ。

 すでにシーズンは3分の2を終えているだけに大きな変化を急につけることは難しいが、「ここまでチーム内で機能してきて、選手も馴染んでいるものもある。それだけにニュアンスを上手く合わせていくのが大事だと思っている。どの監督もチームに対してこれが最適だと思うイメージがある」とクラマー監督は今後の取り組みについて説明したうえで、「ビーレフェルトはウーベ・ノイハウスとペーター・ネメスの下、素晴らしい成果を上げてきた。このチームの道のりはまだ終わりにきていない。ブンデスリーガで場所を見つけられると思っている」と前任者への感謝と、これからのクラブとの共同作業に気持ちを新たにしていた。

 新しいスタートを切るビーレフェルトで2人の日本人選手がどのような役割を担い、残りのシーズンを戦い抜くのか。注目して見届けていきたい。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)


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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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