内田篤人と“鹿島黄金期”をマルキーニョスが回想 「幸せな日々の記憶は語り尽くせない」

現在は農場を経営しフッチボレーの選手としても活動【写真:本人提供】
現在は農場を経営しフッチボレーの選手としても活動【写真:本人提供】

「ウチダなら指導者としても、成功への道を歩んでいける」

 マルキーニョス自身も若い時には同じように先輩たちと過ごし、成長できた経験によるものだという。彼のこの姿勢は鹿島時代に限らず、例えば清水エスパルスでも、日本代表FW岡崎慎司(現ウエスカ)に頼まれて、チームの練習後に居残り練習を一緒にやった。

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「もう一つ大事なのが、会話だった。ウチダやほかの若手には、まずは彼自身にポテンシャルがあるんだということを伝え、それを生かすためには練習しなければならない、とね。試合では『自分の得意なプレーをすればいいんだ。自分のやり方でプレーすればいい。心配するな、怖がらずに、落ち着いて、自分のポテンシャルを見せれば、それでいい』と伝えて、伸び伸びとプレーできる雰囲気を作ろうとしていた」

 懐かしいチームメートたちの話をし始めると、1人、2人では終われない。

「オガサワラ(小笠原満男)、ソガハタ(曽ヶ端準)、ノザワ(野沢拓也)、モトヤマ(本山雅志/現ケランタン・ユナイテッドFC)……。僕のような外国籍選手は、助っ人としてクラブに入るんだけど、トップレベルのプレーをする実力のある日本人選手たちがいれば、より大きな違いを生み出せる。鹿島の場合は、そういうレベルの高い選手がたくさんいた。それが結果につながった。そして何より僕は、みんな、本当にみんな、大好きだ。遠征中にふざけあったり、ロッカールームで一緒に大笑いしたり。厳しい戦いも、ハードな練習も……あの幸せな日々の記憶を、語り尽くすのは難しいよ」

 内田は引退後、日本サッカー協会の新役職「ロールモデルコーチ」としてU-19日本代表合宿に参加したり、メディアへの登場も増えるなど、幅広い活動を始めている。

「素晴らしいよね。ウチダは選手として多くの成功を収め、今、新たな幸せを掴もうとしている。彼なら指導者としても、成功への道を歩んでいけるよ。メディアの仕事も、すべてが肥やしになるはずだ。僕はこれからも、彼の活躍を追っていくよ。頑張ってほしい。また、必ず会いに行くから」

 切磋琢磨し、栄光を分かち合った仲間たちとの思い出と絆は、いつまでもマルキーニョスの記憶に刻まれ続けていくに違いない。(文中敬称略)
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(藤原清美 / Kiyomi Fujiwara)



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藤原清美

ふじわら・きよみ/2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTubeチャンネル『Planeta Kiyomi』も運営中。

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