「そういう選手になりたかった」 福西崇史が語る“ボランチ論”、理想の選手像とは?

チェルシーMFエンゴロ・カンテと元コートジボワール代表MFヤヤ・トゥーレ【写真:AP & Getty Images】
チェルシーMFエンゴロ・カンテと元コートジボワール代表MFヤヤ・トゥーレ【写真:AP & Getty Images】

「潰して、取って、つないでいくのは、現代サッカーでは非常に重要」

「フランス代表の(エンゴロ・)カンテとか、守備がメインかもしれないけど、要所で攻撃に出て、プラス点が取れる。潰して、ボールを取ってきてつないでいくというのは、現代サッカーでは非常に重要なことかなと。少し前の世代だったらヤヤ・トゥーレ(元コートジボワール代表)。攻撃に重きがある(選手)かもしれないけど、守備をちゃんとやれるし、凄いなと」

 カンテとヤヤ・トゥーレ、福西氏が挙げた2人はまさに攻守両面で“なんでもできる”ボランチの代表格と言える選手だろう。もちろん、身長差(カンテ:169センチ、ヤヤ・トゥーレ:191センチ)やプレースタイルなどに違いはあるものの、類稀なフィジカル能力と足下のテクニックを備えており、様々な戦術のサッカーに対応可能だ。

「(試合を)コントロールできるし、シュートも決められる。サッカーがより組織的になっていくなかで、前の選手だけでは(相手に)組織的に守られたとなったら、サイドバックが高い位置を取って、真ん中からどんどん出てこれる選手がいたら怖いと思う」

 海外一流選手のような、オールラウンドな能力を備えた選手が中盤の底にいれば、それだけでチームの攻守は格段に安定するだろう。ただ「ボランチ」のポジションの面白さは、指揮官がどんなサッカーを志向するかによって、このエリアに置く人数や形が変わってくるところ。ワールドカップで世界の列強と戦うようになってからの日本代表は、歴代監督の多くが「2ボランチ」を採用してきた。

「一人一人で対戦していくと、(日本人選手は)体格にしても海外の選手に劣る部分が大きいなかで、2人ならなんとかできるだろうと。(日本人選手は)献身性もあるので、2人でどう上手く抑えるのかというのも考えられるし、2人で力を合わせて良さを引き出し合うことは日本人の特長だと思うので、補い合うことができれば安定はするかなと。もちろん、全部できる選手がいれば1人で埋めればいいので、そういう選手が日本に出てくれば、それに応じたシステムを使うようになるでしょう」

 攻守に連動して戦う日本サッカーにとって、ボランチはいわば生命線。ここにどんなタイプの選手を置き、誰とコンビを組ませるのか。指揮官の戦術的な志向を読み解くうえでも、このポジションの人選は興味深い。

[プロフィール]
福西崇史/1976年9月1日生まれ、愛媛県出身。95年にFWとしてジュビロ磐田に加入すると、プロ入り後にボランチへコンバートされ黄金時代を迎えたチームの中盤を支えた。J1通算349試合62得点の成績を残し、Jリーグベストイレブンも4度受賞。日本代表としても国際Aマッチ64試合7得点を記録し、2002年日韓大会、06年ドイツ大会とワールドカップに2度出場した。04年アジアカップでは優勝を経験している。

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