「第2の三笘」は生まれるのか? 筑波大恩師・小井土監督に訊くタレント育成論

注目される大学の育成環境、プロで飛躍する選手の特徴とは?

 三笘のブレイクを受け、注目されるのが大学の育成環境だ。大学はあくまで教育機関でありプロ選手の養成機関ではないが、選手としての能力を高められる場。大学サッカーで技を磨けば、Jリーグの強化指定選手として声がかかり、プロ入りを掴むこともある。選手本人が望めば、その先の可能性を切り拓ける環境があることについて、小井土監督ははっきりと頷いて言った。

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「普段の練習のレベルはどの大学に行ってもプロとほとんど変わらないので、そんななかで試合に出られるし、自分が勝たせなきゃいけないっていう立場にもなれる。ユースからトップチーム、高校からプロに上がった場合は、すぐに実戦レベルに立てるかは分からない。実際にユースチームや高校の指導者の方と話をしていると、プロに上がってもすぐに試合に出られないし、それであれば大学に行って、もし行けるのであれば2年生でも3年生でも、強化指定としてクラブでやってくれれば有難いっていう話を直接もらったりもするので、環境としては良い選手を送り出せる状況にあるなと思っています」

 三笘と同等クラスのタレントを輩出し続けられるかは、その選手が持つ才能と日頃からの努力に懸かってくる。「元から『天性の才能』を持っていない選手を、今の三笘のようにさせるというのは絶対に無理です。さらに、その選手自身が元から持っているものが何かを正しく理解して、必要な努力をし続けられるように花開かせることが大事」と小井土監督。選手と向き合い、そこから将来への道標を示していくなかでタレントが備わった選手が、大学進学という選択をしても三笘に続く選手を生み出すことは可能だと、小井土監督は言う。

「“第2の三笘”は輩出し続けられるだろうし、その環境は大学にあります」

 プロで大成するために、高校卒業までに心身両面の力が成熟している必要はない。高度な技術やメンタリティーが備わっていればなお良いが、それまでに達しているべき基準があるわけではなく、逆に、将来を有望視されて入学してきたタレントが消えていく光景を「山ほど見てきた」(小井土監督)という。大事なのは自らを客観視でき、正しい努力を継続できるかに懸かってくる。

「岡崎選手も一流になりましたけど、三笘ほどの分かりやすいタレント性があったかと言われると、彼には無かった。足も遅いし、技術もそれほどないし、っていうなかでも、結果的にはオリンピック代表、A代表になり、ドイツ、イングランド、スペインで点を取っている。彼は高卒の段階だとプロになれるかどうかの選手だと思います。それでもあそこまで成長している。三笘も18歳の時には確かに良いものを持っていたけど、これがどうなるかなって身近で見ていたら、最終的には勝手に良い選手になっていった。4年間何をやっていたかというと、武器を磨き、怪我をしない体を作り、大学を卒業した時にこうなっているっていう目標に向かってやり続けていたのは間違いない事実なので、その方向へと導いてあげることが指導者には求められるのかなと思います」

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