イニエスタはなぜ“重傷”に? 中村俊輔専属トレーナーが解説「腱がつかない場合がある」

全治4カ月と診断されたとヴィッセル神戸の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ【写真:Getty Images】
全治4カ月と診断されたとヴィッセル神戸の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ【写真:Getty Images】

右足大腿直筋近位部腱の断裂で15日にバルセロナで手術、全治4カ月と診断

 ヴィッセル神戸の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタは10日、カタールで行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝の水原三星戦で負傷。右足大腿直筋近位部腱の断裂で、15日にバルセロナで手術を受け、全治4カ月と診断されたと、神戸は発表した。サッカー界の至宝が受傷した耳慣れない故障について、元日本代表MF中村俊輔(横浜FC)をセルティック(スコットランド)時代から専属トレーナーとして支えている芝浦スポーツ整骨院・はり治療院の新盛淳司院長が解説してくれた。

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 イニエスタ選手が今回負傷した大腿直筋とは、ふとももの前にある筋肉です。

 近位部とは股関節(足の付け根)に近い箇所であることを意味します。実は大腿直筋近位部は肉離れがよく起こる部位でもあります。

 サッカーの場合、キック動作やスプリント、方向転換で発生します。腱については、アキレス腱をイメージするとわかりやすいです。私がよく患者の方に説明するのは、筋肉はゴムのイメージ、腱は筋肉より硬くヒモのイメージです。多くの筋肉は腱につながり、腱が骨につきます。腱断裂も肉離れの一つですが、肉離れはゴム(筋繊維)が損傷するのか、ヒモ(腱組織)が損傷するのかの違いがあり、腱断裂はヒモ(腱組織)が断裂したということです。

 腱の損傷の方が競技復帰に時間がかかります。それは、血流が筋肉よりも腱の方が少なかったり、負荷のかかり方が筋組織よりも大きいためと考えられています。

 大腿直筋は、下前腸骨棘 (かぜんちょうこつきょく)につくdirect headと、臼蓋(きゅうがい)上縁につくindirect headの2つの頭から始まります。direct headは、表面で幅広い腱膜になり、indirect headは、深層にもぐり筋内腱を形成しています。筋内腱損傷の方が競技復帰までに時間がかかるという報告もあります。

 多くの肉離れは手術せずに復帰できますが、断裂の場合、切れた端と端が離れている場合などは安静にしていても腱がくっつかない場合があります。端と端を縫合するなどの手術後、リハビリを進めることもあります。イニエスタ選手はこのケースだと思います。

 リハビリはまずは安静。断裂部がつながるのを促しますが、組織が癒着しないように動かせる部分は動かしていきます。組織の修復度合いを見ながら、筋力トレーニングやランニングを行い、徐々に競技練習を増やします。

 サッカー選手の大腿直筋の肉離れでは、痛みが少なくプレーを継続できるケースもあります。しかし、無理をすることで、悪化し、復帰までに余計な時間がかかってしまうケースもあります。

 肉離れはMRIなど精密検査をしても、損傷度合いが分からないケースもあり、治り方も個人差があります。悪化するリスクを承知の上でプレーを継続することは、選手個人の選択です。否定はしませんが、肉離れの場合はチャレンジ失敗となるケースが多いので、しっかりとリスクを理解する必要があると思います。

 肉離れの場合、年齢も回復期間を決定する要因になります。

 36歳のイニエスタ選手の怪我のニュースを見た時には正直驚きました。そんな状況でPKを成功させたのか、と。バルセロナで手術を受け、しっかりと管理されてリハビリを進めると思います。全治4カ月という期間にとらわれずにしっかりと治し、また素晴らしいプレーを見せて頂きたい。完治を心からお祈りしています。

[プロフィール]
新盛淳司(しんもり・じゅんじ)
新浦安しんもり整骨院入船院、新浦安しんもり整骨院今川院、クローバー鍼灸整骨院代表。柔道整復師、鍼灸師。元日本代表の中村俊輔(横浜FC)をセルティック時代から10年間パーソナルトレーナーとして支えている。関東リーグ・ブリオベッカ浦安のチーフトレーナーも務めている。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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