「プロとしての道も歩んでみたい」 なでしこ菅澤優衣香が思い描く女子サッカーの“未来図”

プロとしての道も意識している【写真提供:浦和レッズ】
プロとしての道も意識している【写真提供:浦和レッズ】

「現役のうちに女子サッカーが日本の文化に根付くようなことができたらいい」

 菅澤はなでしこリーグのトッププレーヤーでありながら、普段は保険会社に勤め、デスクワークをこなしながらサッカーを続けてきた。日本の女子サッカー界においてはプロ契約はごくひと握りで、多くの選手が二足の草鞋を履いているのが実情だ。若かりし頃は、サッカーに集中したいとの思いもあったと明かすが、社会人としての経験も決して無駄ではないと感じているという。

「若い時は、『プロとしてやりたいのに…』『こんなに長く仕事はしたくない』と思ったこともありました(苦笑)。でも、今振り返れば、自分がいることで働いている職場の方やお客様が女子サッカーに興味を持ってくださったり、応援してくださいました。個人的にも、もともとコミュニケーション能力がそこまで高いタイプではなくて、大人の方たちと接することで話の幅は広がった気がします。今はレッズレディースで年齢が上のほうなので、若い子たちとの接し方とか、どういう話をしたらいいのかなというのは学べたのかなと。仕事しながらの環境も悪くはないと思っています」

 その一方で、やはりプロへの憧れもあると菅澤は語る。2021年9月には日本初の女子プロサッカーリーグとなる「WEリーグ」が開幕予定。10月15日には浦和を含めた参入11クラブが発表された。

「仕事をしながらだと、どうしても午前中の疲労があったり、試合の翌日に仕事の人もいて、サッカーに割ける時間が少なくなっているのが現状です。プロ化になって、サッカーに集中できる環境を整えていただけるということで、今のなでしこリーガーたちには夢のようなリーグになると思います。チャレンジできるのであれば、私もプロとしての道も歩んでみたい。サッカーに集中できる環境でどれだけ自分が変われるか、社会に出てやってきたことがプロでどう生かせるのか、気になるところなので。今の子供たち、なでしこを目指している若い選手たちに、『なでしこリーガーになりたい』『WEリーガーになりたい』と思ってもらい、目標にしてもらえる存在になりたい。現役のうちに女子サッカーが日本の文化に根付くようなことができたらいいなと思います」

 長年、国内リーグを戦い抜き、なでしこトッププレーヤーの1人に上り詰めた菅澤は、女子サッカー界のさらなる発展のために、今後も走り続ける。

※取材はビデオ会議アプリ「Zoom」を使用して実施。

(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)



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