「タフな時期」の先に希望は見えるか 暫定17位の清水、“特別な1年”でのトライと足踏み

22試合中17試合で複数失点 降格なしのシーズンだが“足踏み”状態を心配する声も…

 しかし、勝利は掴み取れなかった。問題はやはり、3失点していることだ。

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 清水はここまで3勝3分16敗。勝利した3試合はすべて先制点を挙げているが、逆に16敗のうち14試合で相手に先制点を許している。また22試合中17試合で複数失点。単純なことを言えば、相手に先制されずに複数失点をしなければ勝ち点を掴めるということ。広島戦での2失点はゴール前の危険な位置でファウルを犯し、そのFKが失点につながっている。審判の判定に納得がいかずにフラストレーションが溜まる試合が続いているが、そこは冷静な対応が必要であり、簡単な失点を減らせれば勝ち点はまだ積み上げられるだろう。

 試合後には「自分たちは長い間、クラブが勝ち取れていないものを勝ち取れるように変えようとしている。それは選手も含めクラブ全体がハングリーにやろうとしてくれている。今はタフな時期を過ごしているが、山を登っていく過程の一つで、ここからまだ登ることはできる」とクラモフスキー監督は話している。

 ただ、その道のりでの足踏みが続いていることを心配するサポーターや関係者が多いのも確かである。今シーズンは降格がない特別なシーズン。ここまでJ1で監督が交代したのはヴィッセル神戸のトルステン・フィンク監督1人だけとなっており、例年とは明らかに各クラブのスタンスは違っている。この試合が今シーズン初出場となったベテランGK西部洋平は、「今週の練習でも全員が『なんとかしてやる』という気持ちが見えた」「今日の試合を終えた後もポジティブな雰囲気だった」と話していた。選手たちも監督同様にまだ気持ちは切れていないようだが、それを試合の中で証明しなければいけない。残り14試合の早い段階で、今挑戦していることが間違いではないという、未来に希望が持てる内容を示し、清水に関わるすべての人たちを安心させるのは選手たちの使命であると思っている。

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下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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