苦悩の清水、“オルンガ不在”の柏に敗れ4連敗 「シュート0本」の前半がお粗末すぎた
【J番記者コラム】川崎戦の悪夢を引きずった前半、拙い守備から2失点
前節、首位を独走する川崎フロンターレ戦でJ1リーグでの被シュート数歴代2位となる33本のシュートを浴びせられ、ミスから失点を重ね0-5と完膚なきまでに叩きのめされた清水エスパルスは、今節の柏レイソル戦に向けて1週間、「戦術的な守備のトレーニング」を細かくやってきていた。併せてピーター・クラモフスキー監督は、「同時に攻撃の部分の改善にも取り組んだ」と試合前日に話し、川崎戦での悪夢を振り払うためにも攻守でその違いを見せるつもりだった。
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一方の柏は、今季13試合出場で14得点を決めているオルンガは過密日程を考慮してベンチ外。水曜日のルヴァンカップ準々決勝の先発メンバーからも中2日ではあったが、ネルシーニョ監督は「上手くいっているものを変える必要はない」と2人を交代させるだけで臨み、堅守を誇るセレッソ大阪を3-0で撃破し、ベスト4進出を果たした勢いをこの試合でも期待していた。
そして試合の前半は、清水が川崎戦のショックを引きずっているかのような展開となった。柏の再三に渡るサイドバックの裏を突く攻撃に守備のスライドが追い付かずピンチを招き、前半35分にDF三丸拡のクロスをFW呉屋大翔にピンポイントで合わされて失点。その3分後にもサイドバックが上がった裏を柏に狙われ、MFヘナト・アウグストがカバーに行ったが、今度は空いた中央のスペースを使われ、完全にフリーとなったFW江坂任に豪快なミドルシュートを決められ追加点を喫した。
2失点ともに相手のシュートが素晴らしかったが、その前段階での守備がお粗末だと言わざるを得ないだろう。攻撃についても距離感が悪く、スペースがあるにもかかわらずパスの出し手が「いてほしいところに人がいない」場面が多かった。結局、清水のシュート数は0本と、前半に限っては攻守においてその練習の成果を感じられることはなかった。
後半は一転、中2日の柏の足が止まったこともあったが、清水が攻勢に出た。特に後半13分にFW西澤健太とFW後藤優介が入ってから攻撃が活性化され、後半だけで10本のシュートを放った。また、柏の最後の質に助けられたところもあるが、守備陣が粘り強くゴールを死守した。チャンスはありながらゴールが遠い展開となったが、後半45分に西澤のFKをFWカルリーニョス・ジュニオがヘディングで決めて1点差としてから、アディショナルタイムが「8分」と表示された。
下舘浩久
しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。