岡崎慎司、スペイン2部で味わった「天国と地獄」 “葛藤”を乗り越えた分岐点の試合とは?

ウエスカの日本代表FW岡崎慎司【写真:SD Huesca】
ウエスカの日本代表FW岡崎慎司【写真:SD Huesca】

【岡崎慎司インタビュー|第1回】初めてのスペイン挑戦…いきなりぶち当たったマラガでの壁

【第2回|スペイン1年目の“ベストゴール”は?】

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【第3回|岡崎慎司が見た久保建英の“凄み”】

【第4回|岡崎慎司が語る“ベテラン論”】

 日本で一番、“波乱万丈”なシーズンを送った男ではないだろうか――。ウエスカの日本代表FW岡崎慎司は、初めてのスペイン挑戦となった2019-20シーズンで12得点を奪い、チームの2部優勝に貢献した。新シーズンは念願のリーガ・エスパニョーラ1部で戦うことが決定しているが、今季は新型コロナウイルスの影響を受けてリーグ中断を強いられただけでなく、岡崎自身は開幕当初に所属したマラガが財政難に陥り、選手登録ができない状況になるなど、波乱のスタートを切った。それでも、移籍市場の締め切りギリギリで加入したウエスカではベンチスタートの時期も乗り越え、絶対的な存在に。プレミアリーグ時代には優勝も経験した34歳FWが「Football ZONE web」の独占インタビューに応じ、スペインでの経験や自身のキャリアなどを振り返った。第1回は「スペインでの苦悩」について語った。

 37試合12得点、チームは2部優勝で1部昇格が決定。終わってみれば岡崎のスペイン1年目は、華々しいものになった。だが、ここまでの道のりは長く、険しいものだった。2019年夏、4年間プレーしたプレミアリーグのレスターを離れて、かねて自身の希望だったスペイン挑戦を決断。行き先は2部マラガだった。新天地で希望を持って入団した矢先、思わぬ現実が突き付けられる。クラブが財政難に陥り、岡崎の選手登録ができなかった。練習を重ねても公式戦に出場できず、加入からわずか1カ月でウエスカへ移籍するため、契約解除に至った。

「ちょうど1年前、マラガでは環境はいいのに試合に出られないという複雑な状況だった。すごくいいホテルで生活して、ビーチは目の前。それでも、『また試合に出られなかった、また試合出られなかった』という状況だった。スペインでは財政状況が悪いチームもあるとは聞いていた。チームメートに聞くと、『スペインではこういうことは普通で、最後に動くから』と。でも、僕は個人的に最悪の状況を考えるタイプなので、そうは言っても動かない場合はあるだろうなと思って、代理人とも話をしていた。ウエスカからの話は移籍市場が閉まる2週間前にきていたので、早く契約解除をしてもらって、移籍するという選択肢はあったんですけど、マラガも(登録できるように)頑張ってくれていたので、頑張ってくれるなら賭けてみよう、と。でも、試合に出られないショックは大きかったですね」

 練習では毎回チームの先発組。週末の練習に向けて試合の2日ほど前までは出るつもりでトレーニングを続けるが、直前に別の選手に交代する。「監督も大変そうだった」と岡崎は言うが、自身にも試合に出られないストレスが溜まっていく。そのなかで、移籍市場の締め切りは迫ってきた。まさに“修羅場”。今、振り返っても怒涛の数時間だったという。

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