なぜ「8分間の中断」は発生したのか? 審判団への“取り囲み”が招いたコミュニケーション不足

反則までの時系列が分かりにくく、状況の混乱を招く結果に

 再開方法に東京V側が抗議していた理由は、主審の最初の笛が、倒れた選手の様子を見るためのもので、PKの笛ではなかったことにある。このようにプレーを止めた後の再開方法は「ドロップボール」ではないのかというのが東京V側の主張だったのだろう。

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 これを解明するには、改めて時系列順に正しく振り返らなければならない。映像で確認して整理すると、まず競り合いで両選手が倒れ、高橋の報復行為が起こる。その後、主審は笛でプレーを止めたという流れが分かる。つまり、高橋のファウルは「笛が鳴る前」の事象であり、“インプレー中”だった。さらに、深野氏によれば「ファウルが起こった場所が大事」であり、発生場所がペナルティーエリア内だったのでPKの判定になるという結論に至った。

 このシーンは多くの事象が重なったことにより、選手や視聴者、そして審判団にとっても時系列の混乱が起きやすい状況下にあった。ライブ中継していたDAZNの解説者も、状況を正しく掴めていなかったほどだ。そのなかで主審が状況を整理し、選手とコミュニケーションを取ろうとしても、取り囲む選手たちの圧力に押されてしまう様子も確認できた。今回の「8分間の中断」が発生した原因は、そうした部分だったように感じられる。

 今後の改善のためには、両者のコミュニケーションをより円滑にする努力が必要だろう。番組で紹介されたことで、選手と審判、試合に関わる人々が「一緒に試合を作っていく」意識を今まで以上に深めていけるのか。試合中の会話には今まで以上に注目していきたい。

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