長野L三谷沙也加が笑顔を忘れないワケ 初ゴールに隠された“両親の涙”で甦った喜び

初めて昇格した2016年以降では初の2部行きが決定【写真:©2008 PARCEIRO】
初めて昇格した2016年以降では初の2部行きが決定【写真:©2008 PARCEIRO】

2部で再出発する2020年は選手会長に就任 攻撃でもサイドハーフとして起点を担う

 リーグ最少タイの15ゴールと得点力不足に苦しんだ長野Lは、4勝3分11敗とリーグ9位に低迷。なでしこリーグ1部・2部入替戦ではセレッソ大阪堺レディース相手に2戦合計1-1ながらアウェーゴールの差で敗れ、初めて昇格した2016年以降では初の2部行きが決まった。「降格」の現実を突きつけられた瞬間、三谷は心に穴が開くような感覚があったという。

「最後に(試合終了の)笛が鳴って降格が決まった瞬間、イケさん(GK池ヶ谷夏美)のような在籍の長い選手がここまで築き上げてきたものを崩してしまったという思いと、チームが苦しい時に何もできなかった悔しさで、『サッカーはもういいんじゃないか』というくらいに落ち込みました」

新体制のチームで選手会長の役割を担う【写真:©2008 PARCEIRO】
新体制のチームで選手会長の役割を担う【写真:©2008 PARCEIRO】

 そんな「複雑な気持ち」にさいなまれる状況から立ち直れたのは、大切なチームメートたちとの絆だった。シーズン中から食事をともにすることが多かった池ヶ谷、DF野口美也、DF五嶋京香、MF大久保舞と意見を交わすなかで、「自分はこの人たちとやりたい」という熱い思いが湧いてきた。2020年、三谷は佐野佑樹新監督、ルーキーを含めて新加入13名というフレッシュなチームで選手会長の役割を担う。

 3年ぶりに長野Lに復帰した最年長のFW泊志穂は、「天真爛漫かつ天然。お姉さんキャラですごく面倒見が良くて、下の子にも声をかけている」と評する三谷に期待を寄せる。

「サイドハーフの沙也加は(今年のチームで)攻撃の起点になるポジション。気が利くプレーができる選手で、守備でもチームメートのポジションを見てバランスを取ってくれています。自分なりのサッカーのイメージを持って周囲に伝えているので、人を巻き込んで良い風を吹かせてほしいと思います」

 三谷の中でもチームを引っ張る意識は強く、こと“一体感”に関しては自信を持っている。

「1部から2部に落ちたことで周りの見る目も変わるし、自分たちの姿勢が一番重要視されます。今年は若い選手が主体。今までパルセイロを作ってきたメンバーと新加入選手たちが融合して、みんな一つになってできている。監督、選手、スタッフ、クラブ全体の一体感は胸を張れます。私自身、一番起点になるポジションだと言われているので、積極的にチャレンジしていけたら良い方向に進んでいくと思います」

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