「サッカー人生の全てを変えるきっかけになった」 天才・宇佐美貴史を覚醒させた言葉とは

葛藤の日々を経て導き出した結論

 暗転していく自身のサッカー人生に活力を失い、大きな喪失感だけが残った。気持ちをつなぎ留めようと、試みても一向に変わることのない現状に心が音を立てて折れた。

 結局、葛藤の日々が好転することはなかった。ホッフェンハイムでは、20試合出場2得点。長く、つらいシーズンが終わりを告げた。

「これがほんまの挫折やなって思いましたね。心が折れまくっていたんで。今まで経験してきた壁とか挫折はちっぽけなもんだったと、そこで初めて気付きました」

 だが、落ち込んでいる暇などなかった。新たな移籍先を探して欧州に居続けるべきか。それとも前年にJ2リーグに陥落し、J1昇格に向けて戦っている古巣に戻るのか。決断の時は迫っていた。

「めっちゃ考えました。ブンデスの1部のチームに移籍すれば、また次のステップがあるかもしれない。でも、ガンバはJ2に落ちて、もう後がなかった。自分のハードルとしてどちらが高く厳しいかを考えた。最終的にガンバに戻ることに決めたけど、退路を断っての決断でした。もし、J2のガンバに戻って試合に出られない、結果も出ぇへんかったらサッカーやめようって思った。そのころは、サッカーが面白くなかったし、自信も失っていた。そこまで落ち切りましたからね。そのくらいの気持ちでやらな、失ったものを取り戻せない。だから、自分の中ではガンバに戻って半年間が大きな勝負やなって思っていました」

 

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