【THIS IS MY CLUB】今治に根付く“イズム” 矢野社長が明かす岡田会長の経営哲学とは?

矢野社長と二人三脚で歩んできた岡田武史会長【写真:寺下友徳】
矢野社長と二人三脚で歩んできた岡田武史会長【写真:寺下友徳】

軸はブレないながらも、周囲の有用な意見をすぐに取り入れる“朝令朝改スタイル”が鍵

 岡田会長はクラブの周知と応援を集めることに力を注ぎ、自らビラを配ったり、ポスターを貼るなどスポンサー獲得に奔走した。就任当初はスポンサーが集まらずに苦戦を強いられたが、2020年にトップパートナー契約を結んだ「ユニ・チャーム株式会社」の⽯川英⼆取締役副社⻑が「岡⽥さんの熱意を受けてパートナーになることを決めました」と決断の理由を語ったように、岡田会長が掲げる理念に共鳴する形で多くのサポートを得てきた。米金融大手ゴールドマン・サックス証券で営業マンとして10年間働いた経験を持つ矢野社長が見た、岡田会長の“経営哲学”とは――。

「岡田氏は、企業の経営とは異なりますが、サッカー日本代表の監督というとてつもないプレッシャーのなかで結果を残す目標に向かって、多くの関係者が動くのを司ってきた方です。その後もJリーグ、中国スーパーリーグの監督も務め、素晴らしい経験値を持っていらっしゃる。ただ、軸はブレないながらも、くだらないこだわりはない部分が凄いと思います。自分がこうだと思っていたとしても、その考えを改められるような新しい情報を自分やスタッフが獲得してきた時には、しっかりと受け入れる。『朝令暮改』ならぬ『朝令朝改』。朝に伝えて夕方に改めるのではなく、朝に言ったことを朝改めるというところがあります。私たちの会社に関わる全員が、岡田氏の経営スタイル・感覚を楽しんでいるように思います」

 2019年度の高校サッカー選手権では今治東が今治勢初となる全国の舞台に立ち、岡田会長が築いたサッカーの原理原則「岡田メソッド」が話題を呼んだ。矢野社長も今治に対する注目度の高さを肌で感じているという。

「サッカーというスポーツが、今治市民に新たなつながりをもたらすハブの役割を果たしていると感じます。皆様、様々な場所で『今治はいいね』と羨ましがられるそうです。(今治市のキャラクターである)バリィさんが元気で、サイクリングが盛んで、最近ではFC今治がJリーグまで上がっている、と。FC今治がこれまでになかった人の動きを作っているということは評価して頂いていると思います」

 開幕が3カ月以上延期となっていたJ3も、6月27日についに2020年シーズンの幕開けを迎える。新型コロナウイルスの影響を受けたなかで、サッカーを通じて地元を活気づけることは今治の“使命”だと矢野社長は語る。

「今は、新型コロナウイルスという目に見えないものとの戦いを余儀なくされて、皆さんが不安になっている状況です。スポーツの持つ力を信じながら、私たちの営みがクラブに関わる皆様に少しでも元気を与えていければ、と。シーズン開幕に続いて、スポーツはやはり勝負事ですので結果を残して、皆様に期待を持ってもらえるような戦いを見せていきたいと思います」

 岡田会長、そして矢野社長の下、今治がJリーグデビューイヤーにどのような爪痕を残すのか、期待は高まるばかりだ。

※取材はビデオ会議アプリ「Zoom」を使用して実施。

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(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)



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