J1札幌選手、なぜ総額1億円の“報酬返納”を提案? 「ただの美しい話とは考えていない」

クラブに受け継がれる“支え合う”意識 野々村社長「気持ちが嬉しい」

「いつも以上に支え合わなければならない」

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 宮澤はそうしたコメントも残している。

 一昨年はリーグ戦で4位、昨年はルヴァンカップ準優勝。J1昇格とJ2降格を繰り返す“エレベータークラブ”とも揶揄された成績面は塗り替えられ、資金規模も着実に大きくなってきた。

 2013年に一度は3億円規模にまで下がった強化費も、今季はおよそ18億円へと近づいている。クラブハウスの駐車場には外国産車が並ぶようにもなったし、間違いなく札幌は大きく変わりつつある。だが、長く在籍するキャプテンらを中心に、プレーに全力を注ぐと同時に、クラブの経営面なども考慮して自分たちから支えようとする選手たちの意識の根本は、経費削減を重視せざるを得なかったかつての札幌と変わらずに受け継がれているように思う。

 今さら記すまでもなく、筆者がこうして自宅で文字を打って収入が得られるのも、そうした選手たちやクラブの存在があってこそである。「支え合う」という意味では、こちら側から彼らを支えるためにできることはほとんどないが、その意識だけは自分も強く持ちたいと改めて感じた次第だ。

 世界中から連日、暗いニュースが届くこの日々のなかで、札幌の選手たちから前向きな気持ちを得た人は少なくないはず。「金銭的にどうこうではなく、気持ちが嬉しい」という野々村社長の言葉が、ピタリと当てはまる。

(斉藤宏則 / Hironori Saito)



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