Jリーグとウイルスの戦い 今季「降格なし」の決断、弱者を守る“護送船団方式”の正義

一部の人からはバカげていると思えても…

 1993年に開幕したJリーグは、いわゆる“護送船団方式”でスタートした。

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 世界的には弱肉強食がサッカー界の掟だが、後発のJリーグは突出した存在を認めない代わりに、すべてのクラブが立ちゆくように運営されてきたわけだ。これには良い面も悪い面もあったが、今回の新型コロナウイルス危機にあたって、“護送船団マインド”が前面に打ち出されてきたように感じる。一つの脱落者も出したくない。潰れるところは潰れて良し、という態度ではないわけだ。

 新型コロナウイルスが弱いくせに手強いのは、近代社会の弱点をついているからだと思う。欧米の一部の若者が主張しているように、とっとと感染してしまおうという方針なら、ウイルスは確かに早く収束するのだろう。主に老人が犠牲になるが、一部のウイルス弱者のために経済を破綻させるのはバカげているというわけだ。

 だが、近代社会はその考え方に同意しない。たとえ不合理でも、センチメンタルでも、1人の命を疎かにしないところに立脚している。Jリーグのウイルスとの戦いは失敗に終わるかもしれない。しかし、そもそも現代社会の戦い方はハンデ戦にならざるをえないのだ。一部の人からはバカげていると思えても、それが正義というものなのではないか。

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(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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