澤を身近で見守った夫が伝えた言葉 「澤が澤であるための瞬間があってもいい」

夫として初観戦

 INAC神戸のMF澤穂希は27日、現役最後の皇后杯決勝戦新潟戦で決勝点を決めた。夫でJ1仙台運営・広報部長を務める辻上裕章氏は試合後、等々力陸上競技場で取材対応し、感慨深い表情で言葉を並べた。

 準決勝で実現した初の夫婦対決は、辻上氏の勤務する仙台が、INACに敗戦。「準決勝で直接対決があったので、夫婦で絶対に負けない、勝利にこだわりたいというところで残念ながら仙台は負けてしまった」。仕事を離れて夫人の試合を観戦するのは最初で最後となったという。

「僕自身が彼女の試合を純粋に観戦という意味で見るのは初めて。クラブ同士の戦いの現場や、なでしこジャパンでは2010年のアジア大会のメディアオフィサーをやっていたので、現場で仕事はしていましたが、初めての観戦がこの引退という最後の試合で、そこで決勝ゴールを決めて優勝するというのは、そうそうできるものではなかったので、非常に驚いているし、その現場にいることが幸せです」

 この日、澤にとっては結婚発表後、現役最後の試合で初ゴールだった。

「試合前というか、昨日の夜に電話で話して、彼女が結婚してまだゴールを決めていないので、ミセスゴールを狙っていくという話をしていました。それが実現できたら本人も最高でしょうし、チームにもタイトルを手繰り寄せることになるでしょうから。今シーズンは守備的な役割を託されていたけど、タイトルを取るためにはどこかでリスクを取って、澤穂希が澤穂希のためにプレーする瞬間があってもいいんじゃないかという話はしました。チームのためのバランスやチームプレーも必要ですが、そういう1年だったと思うので、最後の試合では澤穂希が澤穂希のためにプレーする瞬間に一つ輝ければいいよねという話はしていました」

 定位置であるボランチに入り、百戦錬磨の経験からスペースを潰すなど、黒子役として今季のチームに貢献してきた。そんな澤が、なでしこジャパンのスーパーエースに戻る瞬間がやってきた。後半33分、MF川澄の右CKを頭で合わせてゴールネットを揺らした。

 

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