「僕を信じてくれる人がいた」 宮市亮、苦難を経て達した境地「スピードも上がっている」

宮市に信頼を寄せるヨス・ルフカイ監督【写真:Getty Images】
宮市に信頼を寄せるヨス・ルフカイ監督【写真:Getty Images】

リハビリでフィジカルを強化 「怪我する前よりスピード自体も上がっています」

 ザンクト・パウリも、そんな宮市をいつでも手厚くサポートをしていた。まだ完全復帰できるか分からない時でも、契約延長のオファーを出してくれた。

「これだけ2回、3回と大きい怪我をして、契約延長までしてもらって……。すごい恩はありますし、自分が返せることっていうのはピッチ上でやれることだと思うので、結果なりアシストなり出していければいいなと思います」

 今、宮市は代えのきかない主力選手として、チームを助け続けている。武器だったスピードにはさらに磨きがかかり、負傷前と比べて現在のほうがフィットネスの数字は上回っているという。

「リハビリの段階でそこに取り組んでいたので、そこでいい感触を得られて。やってきたことが今につながってきているのかなと思います。怪我する前よりもスピード自体も上がっています。

 昔からスピードで、というプレーヤーでしたけど、より攻守にそこが発揮できるようになったかなと思います。スペースに出ていく動き出しのところで工夫したり。中盤、特に僕は右サイドで出ることが多いので、左サイドから展開して中盤に入ってきた時に(相手)DFの裏を突いていくというところを意識してやっていますね」

 コンディションの充実さは、自信にもつながる。だから、ただプレーしているだけで終わりではなく、ゴールに直結したプレーにもこだわりを持って取り組んでいる。

「数字的には監督は4~8ゴール、4~8アシストしてほしいというのは攻撃陣の選手には言っているので、そこは目指したい。日々、健康でいることに感謝して、そこをしっかり日常的にやっていけば、結果は後からついてくるのかなと思うので、しっかりケアなりやっていきたいと思います」

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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