新たなドーハ組の名将誕生か 監督1年目で福岡をJ1に導いた「アジアの壁」、井原監督の光る手腕

強気采配でドローをもぎ取る

 アジアの壁と呼ばれた現役時代の冷静沈着な姿と言葉そのままだった。6日のJ1昇格プレーオフ決勝でC大阪と1-1で引き分け、J1への切符を手にした福岡の井原正巳監督は高揚感をぐっと飲み込むような所作だった。

 「こういう結果を得られて本当に良かった」日本代表史上に残る名センターバックとして、現役時代に活躍した井原監督は落ち着いた言葉でこう語った。

 年間リーグ成績3位の福岡は、4位から進出したC大阪に対して引き分け以上でJ1昇格を勝ち取れる状況にあった。しかし、会場は中立地とはいえヤンマースタジアム長居。アウェーでの戦いを強いられる状況に直面した。

 最初のアクシデントは前半に訪れた。チームの攻撃を支えてきたFW酒井宣福が24分で負傷。FW金森健志を投入していた。そして、後半15分には先制点を許してしまった。しかしここで、井原監督は素早く動いた。それまでFWウェリントンを前線に残した5バックで守備を重視していたところ、システムを2トップに変更。さらにFW坂田大輔やFW中原貴之を立て続けに投入し、一気に攻撃的なシステムに変更した。

 そして迎えた後半42分、途中出場の坂田、金森、中原が絡んだ攻撃で、最後は右サイドを一気に駆け上がってきたDF中村北斗が豪快に蹴り込んだ。指揮官が執念を見せた強気な采配が同点ゴールを導いた。

「先制点を取られて苦しかったが、先に取られても90分間諦めずに戦おうと話していたし、最後まで選手がそのとおりに走ってくれた。それがゴールにつながったと思う。ビハインドなのでシステムを変え、何とか1点を取りにいった中で生まれたゴール。北斗のシュートも素晴らしかったけど、チーム全員の気持ちが乗り移ったゴールだった」

 チーム全員で奪ったゴールだと、井原監督は選手たちを称えた。

 

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