神戸に変革起こすドイツ人闘将 「ポジティブなエネルギー」は“ラストピース”となるか

ヴィッセル神戸を率いるフィンク監督【写真:Getty Images】
ヴィッセル神戸を率いるフィンク監督【写真:Getty Images】

白星発進のフィンク監督 タッチライン際で感情を剥き出しにするジェスチャー

「コンバンハ!」 試合後、トルステン・フィンク監督は記者会見の会場に入るや否や、大きな声で笑顔を見せ、開口一番にそう口にした。ついさっきまでタッチライン際で激情を見せていた人物とは別人のような爽やかな表情だった。来日して間もないが、このドイツ人指揮官の放つ魅力を垣間見ることができた瞬間だった。

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 ヴィッセル神戸は15日、J1リーグ第15節でFC東京と対戦し、1-0と勝利を収めた。元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタが復帰戦で決めた鮮烈なミドル弾がこの試合最大のトピックにはなったが、初陣で首位クラブを相手に白星を飾ったフィンク監督もまた、視線を引き付けるような存在感を放っていた。

 試合を通してタッチライン際で激しいジェスチャーを見せ、闘争心を剥き出しにしていたフィンク監督は、後半4分にイニエスタが決勝点を奪った瞬間、激しく雄叫びを上げると、同アディショナルタイムにイニエスタが交代した際は、眩しい笑顔を浮かべ、はしゃぐようにハイタッチを交わしていた。そして、試合終了のホイッスルが鳴り響いた瞬間は、コーチ陣や選手たちに飛びかかるように歓喜を爆発。試合終了後は、アウェーまで駆けつけたサポーターたちの前で、誰よりも力強いガッツポーズで感情を全面に出している。

 これほどまでにエモーショナルな指揮官はJリーグでもそういない。しかし、世界ではその姿が重なる人物がいる。リバプールのユルゲン・クロップ監督だ。タッチライン際で喜びや怒りを露わにする激情家である一方、会見では記者たちを笑わせるほど爽快で親近感の湧く指揮官であることは、ドルトムントを指揮していた時代から有名だ。選手やサポーターの全員から愛される存在として認知されている。

 また、フィンク監督は記者会見で「相手のウィークポイントに集中するより、自分たちのストロングポイントに集中したい」と自らの信念を貫く姿勢を示した一方で、「(FC東京は)大抵45分から60分の間に失点している傾向が強かったので、そこを利用するつもりではいた」と、抜かりない分析も徹底している緻密さも一面も見せた。その点においても、同郷のクロップ監督と通ずるものがある。

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