主審が主役となったローマダービー 浮き彫りになった2つの誤審問題

ラツィオの悪質ファウルは見逃される

 一方で、キエーザ氏が「より重大なミス」と語っているのが、後半10分過ぎの記録上は何も残らないことになったシーンだ。右サイドをドリブルしていたローマのFWモハメド・サラーが、中央にパスを出した瞬間、わずかに遅れてラツィオDFセナド・ルリッチがチャレンジし、サラーの右足を強烈に踏みつけた場面だ。このプレーで負傷したサラーは、交代を余儀なくされた。衛星放送局「スカイ・スポーツ」のリポートによれば、右足首の重傷が懸念され、精密検査が行われる予定だという。

 しかしながら、このプレーでタリアベント主審はファウルの笛を吹くこともなく、アドバンテージのジェスチャーをすることもなかった。当然、ルリッチに対してカードも提示されていない。ノーファウルのプレーとして扱われた。

 キエーザ氏は「これは重大なミスジャッジで、即刻レッドカードが提示されるべきプレーだった。しかし、彼はフリーキックすら与えることがなかった」と批判した。ローマのルディ・ガルシア監督も「重大なケガにならないことを祈っているが、主審だけでなく副審や第4審判も見ていなかったのだろうか」と激怒。審判団全体に対して疑問を呈していた。

 タリアベント主審は国際主審としてUEFAチャンピオンズリーグなどの大舞台でもジャッジを任されることがあり、リーグ戦でも難易度の高いゲームに割り当てられることが多い。そうした注目度の高いゲームを担当しているというのも一つの要素だが、批判を浴びることも多いレフェリーだ。今回のローマダービーは、ある意味で主審が主役になってしまったのかもしれない。

 

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

page1 page2

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング