長谷部誠の「頭脳」とフランクフルト監督の「戦略」 EL4強チェルシー撃破へ抱く希望

長谷部も第2戦へ自信 「戦い方次第で非常に面白い試合になると思う」

 相手のビルドアップからジルーへの縦パスを防ぐ。CBが相手FWに引っ張られたあとのスペースをカバーする。ローデ、フェルナンデスがどんどんプレスをかけられるように、中盤の底でバランスを取る。状況に応じて高めに位置取りをして、ボールを奪い取る。攻撃時には相手守備の薄いところへパスをさばいていく。そして相手ペースになった時に、チームに落ち着きをもたらす。

 相手はワールドクラスの選手を揃えるチェルシーだ。すべてが狙い通りにいくわけではない。長谷部にしても相手の動きについていけずに振り切られたり、鋭いプレスに遭ってボールロストするシーンもあった。だが、多くの役割を一人で担うことができる長谷部の存在なしに、フランクフルトの健闘はなかったはずだ。

 では、9日の敵地スタンフォード・ブリッジでの第2戦は、どんな試合になるだろうか。

 チェルシーのサッリ監督は第1戦後、「今日は相手どうこうではなく、自分たちがミスをしたと思っている」と前置きしたうえで、「フランクフルトは危険なチームだ。特にスペースがある時の彼らは手強く、ホームだけではなく、アウェーでも危険なチームだ。どちらが決勝に進むのか。我々は非常に良い試合をしなければならない」と警戒心を高めていた。

 そんなチェルシーに、フランクフルトはどのように戦うべきだろうか。相手の強さは百も承知だ。立ち位置では、フランクフルトがチャレンジャーなのは分かっている。では逆に、フランクフルトが持つ強みとは――。長谷部は次のように、冷静に分析する。

「個々の能力でいったら間違いなくチェルシーより劣る。ウチの強みは、チームとして戦う部分でしょうね。チームとして守備の部分でも、サイドのペドロとか、アザールとか、ウィリアン相手に1対1の状況を作らせないで、2対1の状況を作るとか、そういうところだと思う。

 アウェーでは、より守備の時間がちょっと長くなると思う。ただそのなかでも、間違いなく1点は取らなきゃいけないので、そういう戦い方を自分たちでね、しっかり自分たちの中でクリアにして。例えばアンテ(・レビッチ)が戻ってくるから、引いた形から彼のカウンターを生かせると思う。分でいったら悪い。ただ、戦い方次第で非常に面白い試合になると思う」

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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