別次元の決勝トーナメント2日目。オランダとメキシコ、真逆のスタイルを貫く強豪が激突

2つのチェックポイント

 オランダのチーム状況をチェックしてみよう。センターバックのブルーノ・マルティンス・インディは負傷で出場が難しい。1次リーグ第3戦のチリ戦に続き、左ウイングバックのダレイ・ブリントがセンターバックに入り、左ウイングバックにディルク・カウトが起用される予定だ。

 このため、前線の2人と正確なフィードを誇るブリントの距離が遠ざかり、左サイドからのカウンターはやや精度が落ちるかもしれない。ただ、代役のカウトは本来FWの選手。フィード能力はブリントに劣るが攻撃力は高く、彼がボックス内に飛び込めば攻撃の破壊力は増す。

 メキシコは、アンカーのホセ・ファン・バスケスが累積警告で一試合出場停止。先述のように、メキシコはアンカーがチーム戦術の重要な役割を担うだけに、このハードワーカーの離脱は大きな痛手。34歳のベテラン、カルロス・サルシドの起用が濃厚だ。

 試合展開は、メキシコがボールを保持して、オランダがカウンターを狙う傾向になるだろう。そして、勝負のポイントは2つある。1つ目は、メキシコのチャンスメーカーである攻撃的MFエクトル・エレーラと、オランダのつぶし屋である守備的MFナイジェル・デヨングのマッチアップだ。

 エレーラはパス、ドリブル、シュートのどれもが一級品のテクニシャンで、相手のハードマークをかわし、前線のオリベ・ペラルタやジオバニ・ドスサントスに好機を供給。一方のデ・ヨングは、まさにそのハードマークが得意な選手で、ここまでも持ち前の球際の強さで相手に自由を与えてこなかった。この両者の攻防の結果が試合を左右するだろう。エレーラが完全に抑えられてしまえば、メキシコのチャンスが激減する。

 もう1つの注目ポイントは、メキシコの代役アンカーのパフォーマンスだ。ファンペルシーとロッベンは、味方のサポートがなくとも独力で得点に結び付けることができる。つまり、サルシドがどれだけオランダのパスの出し手と、前線の2人とを分断できるかがカギになる。広大なスペースを残して前の2人にボールを持たせると失点に直結する。メキシコもスペインのような結果になってしまうかもしれない。

 ポゼッションとカウンター。簡単に整理し過ぎてはいけないが、正反対のスタイルを貫く者の激突は、それだけで興味深い。同時に、双方がそれだけのチームでないことも覚えておく必要がある。オランダが3-4-3で攻撃的に出ることもあれば、メキシコがハイプレスとカウンターでやり返すかもしれない。一瞬も目が離せない試合になりそうだ。

「オランダ対メキシコ」は6月30日 1:00、「コスタリカ×ギリシャ」は5:00のキックオフになる。平日の深夜から早朝にかけての放送ということで、生で見られない方も多いだろう。見逃してしまった場合は、フジテレビ系列で19:00から放送される「2014 FIFA ワールドカップ DAILY」を見て頂きたい。両試合のダイジェストは勿論、決勝トーナメントの見どころをたっぷり放送する予定だ。

 

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

※ワールドカップ期間中、記事内で扱うシーンの一部はFIFAワールドカップ公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』のマルチアングル動画、選手毎のスタッツデータで確認できます。
詳しくは、「LEGENDS STADIUM 2014 – FIFAワールドカップ公式動画」まで

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