06年W杯優勝メンバーの数奇な旅 引退状態のイタリア代表守護神がプレミア王者にたどり着いた理由とは

守護神クルトワの故障離脱でモウリーニョ腹心に自ら売り込み電話

 とはいえ、GK陣に負傷が相次いだとはいえ、ほぼ引退状態にある上にイングランドでのプレー経験も全くない選手にオファーを出すのは異例だ。そこには、アメリア自身のちょっとした“売り込み”もあったという。

「運が良かったんだ。クルトワがケガをしてしまった後、ジョゼ・モウリーニョ監督のスタッフにメッセージを送ったんだ。「新しいGKが必要じゃないか?」ってね。そしたら、監督から直接電話があったんだよ。練習に参加してくれれば、その後に決めるけどどうかとね。その結果、僕は今ここにいる。すごくハッピーだよ」

 第1GKはボスニア・ヘルツェゴビナ代表GKアスミール・ベゴビッチが務め、現時点でアメリアは第2GKという扱いになる。契約も今季限りで、年末にはクルトワも復帰予定で、出場機会がどれほど訪れるかは疑問が残る。それでも、アメリア自身は現在16位と苦境にあるチェルシーに還元できる自信があると語る。

「僕はミランやローマといったビッグクラブでプレーしてきた。まあ、チェルシーは特別な超ビッグクラブではあるけれども。今の成績が良いとは言えないけど、コーチングスタッフやチームメートと共に、勝利を取り戻すために働きたいと思っているよ。僕には、ビッグクラブで若手選手とプレーしてきた多くの経験がある。それを、このチェルシーでも若手選手たちとコミュニケーションを取ることで生かしたいんだ。そして、この状況を変える助けになりたいと思っているよ」

 チェルシーの一員としてのアメリアは、17日のアストン・ビラ戦からのメンバー入りが予定されている。数奇な運命をたどってスタンフォード・ブリッジに辿りついたイタリア人GKは、不調のチェルシーに変化をもたらすことができるだろうか。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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