W杯コロンビア戦“金星”と日本人DFの“アシスト” ライバル国から見守った歴史的瞬間

コロンビア代表MFアギラール(左)、山中敦史(右)【写真:本人提供】
コロンビア代表MFアギラール(左)、山中敦史(右)【写真:本人提供】

コロンビアでプレーしていた山中が伝え続けた最新情報

 日本代表は昨夏のロシア・ワールドカップ(W杯)で、2大会ぶり3度目のベスト16進出を果たした。グループリーグ初戦のコロンビア戦に2-1で勝ったことが、その後の好結果につながったが、その日本代表に現地コロンビアから相手の最新情報を伝え、陰で勝利に貢献していた日本人がいた。中南米を舞台にプレーを続け、コロンビアでプロ契約を勝ち取ろうと奮闘していたDF山中敦史だ。

 山中は2017年11月からコロンビアに滞在。複数の国内1部、2部チームに練習生として出向き、契約をつかもうとしていた。現地では南米予選突破後からW杯直前まで、テレビで誰が代表メンバーに入るかや当落線上の選手は誰か、怪我人情報なども含めて、コロンビア代表の情報が逐一報じられていた。自身のブログでコロンビアサッカーについて記事を書いていると、その存在を知った日本代表の分析担当者から連絡をもらい、山中は予想されている23人の代表メンバーの名前や、各選手の弱点、コロンビアのスタイルについて細かく伝えたという。

「コロンビアは右のMFフアン・クアドラードがボールを持つと、右サイドバックのサンティアゴ・アリアスが必ずサポートのために上がる。そのタイミングでボールを奪えば、アリアスの本来のポジションにスペースが生まれ、数的優位を作れる」

「DFジェリー・ミナは対人プレーは強いが、ポジショニングが悪く、裏が狙い目」

「コロンビアは守備ではブロックを形成し、ボールを奪うと一気にカウンターを仕掛ける。ただ、前に蹴るのではなくボールをつないで相手を焦らし、隙を見つけてカウンターという流れ。両サイドには足が速い選手を使う」

 山中からの情報は予想スタメンにも役立った。ホセ・ペケルマン監督(当時)は南米予選から、国内のデポルティボ・カリでプレーするMFアベル・アギラールをボランチで起用してきたが、アギラールはW杯開幕約1カ月前の国内リーグ戦プレーオフで左膝を負傷。代表入りすら危ぶまれていた。

 アギラールは最終的に代表メンバーに選ばれたが、直前合宿では別メニューが続き、初戦の日本戦までにベストコンディションに持っていくことはできず、出場しなかった。山中から情報を得ていた日本代表も当然、アギラールがスタメンから外れることは予想できていた。

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