賭けに負けたザッケローニ監督 日本が奇跡を起こすには戦い方をシフトするしかない

現実を受け止めなければ奇跡も起こせない

 一つ目の条件はクリアした。怪我人がいたとはいえ、ザッケローニ監督はベストメンバーといえる選手たちをW杯に連れてくることができた。だが、残念ながら二つ目の条件はクリアできなかった。ザッケローニ監督は怪我をした選手を「半分も水が入っている」と捉えて選出したが、パフォーマンスは期待通りのところまで上がってはこなかった。親善試合で長い時間出場させたダブルエースは、むしろ疲労を蓄積させてしまっていた。

 ザッケローニ監督は21日のトレーニングをキャンセルし、「疲れがたまっているので休ませたい」と選手たちに休養を与えた。スケジュールを変更してでも、コンディションを回復させることを優先させた。このことからも、ザッケローニ監督が最も大事にしているものが何かがわかる。

 だが、たった4日間で魔法のようにコンディションが回復し、見違えるようなパフォーマンスになる。そんなことは本当にあるのだろうか。「奇跡は信じない人には起きない」と川島永嗣は語ったが、今の現実を受け止めなければ奇跡も起こせない。

 コロンビア戦は今の日本にできるベストを尽くすべきではないか。自分たちのサッカーをするために十分なコンディションが整わなかったことを認めたうえで、戦い方をシフトするしかない。

 

 すなわち、ディフェンスのブロックを作って、コロンビアの良さを徹底的に消しにかかる。長友が攻撃に注いでいるエネルギーを全てディフェンスに使えば、クアドラドを抑えることはできるだろう。ファジーなポジションをとってくるハメス・ロドリゲスはボランチ2人でマークすればいい。アルゼンチンがイランにやったように。幸いにして、コロンビアに“メッシ”はいない。

 日本サッカーの未来にためにも、攻撃的なサッカーを貫いてほしいという気持ちはある。それでも、日本代表は彼らだけのものではなく、日本の代表だということも忘れてはいけない。

【了】

北健一郎●文 text by Kenichiro Kita

※ワールドカップ期間中、サッカーマガジンゾーンウェブが記事内で扱うシーンやデータの一部はFIFAワールドカップ?公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』で確認できます。
詳しくは、「LEGENDS STADIUM 2014 – FIFAワールドカップ公式動画」まで

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