日本が支配率「23.7%」でサウジに競り勝った要因は? “想定内”の劣勢で光った3大ポイント

DF冨安のゴールは、相手のウイークポイントを突けた結果の先制点だった【写真:AP】
DF冨安のゴールは、相手のウイークポイントを突けた結果の先制点だった【写真:AP】

ポイント2:「セットプレーからの得点」

 アジアカップに限らず、こうした国際大会の決勝トーナメントにおいてセットプレーの得点、とりわけ早い時間帯での先制点は勝負に大きな影響力を及ぼす。攻撃の流れに関係なく得点できるチャンスであることに加え、得点された側の心理的なダメージは大きい。

 サウジアラビアはもともとアジアの中ではセットプレーの守備力が高いチームだったが、フアン・アントニオ・ピッツィ監督が就任してからテクニカルで機動力の高い選手を揃える傾向が強まり、その弊害としてセットプレーで十分な“高さ”を確保できなくなった。

 そこを補うためか、ロシアW杯後の親善試合ではゴール前で特定の相手をマークせずに選手を並べるゾーンディフェンスを採用しており、それはグループリーグでも変わらなかった。日本戦になってマンツーマンに切り替えてきたが、かえって中途半端な対応が仇となり、日本が最初のCKで得点する結果となった。

 キッカーの柴崎は「彼らはそんなに大きくなかったので、自分の想定していた展開ではセットプレーで点が取れれば非常に楽になるかなと思っていたので、練習もしていましたし、練習の成果が出たんじゃないか」と語る。

 相手の守備の形は想定と違っていたが、中央とファーサイドの間ぐらいに上手くボールを入れて、そこにゴールを決めた冨安などサイズで相手を上回る選手が飛び込んでいけばゴールチャンスになるというイメージは共有できていたようだ。準備と実践で、上手く相手のウイークポイントを突けた結果の先制点だった。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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