【W杯詳細分析・ドイツ-ガーナ】両国に見られたチャレンジの姿勢 “パスミス”の軌跡が示す日本代表へのヒント

両チームに見られたリスクを負ったチャレンジ

 通常、データの優位性はパスで言えば成功率の高さやポゼッション率の高さで評価されることが多い。ボールを持っている限り相手に攻撃されることはないという理論だ。しかしポゼッション率も成功率も100%ということはあり得ない。ボールを保持するのは相手に攻撃させないためでなく自分たちが得点するためだ。そこを間違えると失わないことが目的化してしまい、リスクを負ったチャレンジが出来なくなる。

  イラストを見てほしい。これは失敗したパスの軌跡だ。敢えて失敗したパスを抽出したのは理由がある。パスミスを悪いデータの指標としない見方をするためだ。

 ガーナ戦

 世界レベルの大会に参加するチームは攻守においてバランスが取れているチームが多い。特にこの大会では南米、北中米カリブ、アフリカのチームの組織だった守備が目立つ。一度ポジションがセットされた状態を崩すのは簡単ではない。それを崩すためには、守備の組織が整う前に攻めるしかない。この失敗したパスの軌跡がほとんど縦パスであることに気が付くと思う。つまりこの赤いラインは点を取るためのチャレンジの軌跡でもある。両チームとも何本か自陣での「横パス」のミスがあるがこれは致命傷だ。実際ガーナの2点目は横パスを奪った後の縦へのパスからだ。

 ボールを保持している時、多くの選手は自分がパスを受けることを考える。そういう状況でボールを失った時、あるいは競り合った結果ボールがこぼれた時には、次のプレーが非常に重要だ。そこでチャレンジし、相手に奪われても奪い返すことでまた次の攻撃が始まる。

 もちろん無闇に縦に蹴ることがチャレンジングでアグレッシブなプレーというわけではない。繋ぐべき時はしっかりと繋ぐスキルをしっかり持つことは最低条件だ。この大会では、ポゼッションする意味を理解し、実践しながらも恐れず、積極的なミス=チャレンジを続けるチームに結果が伴っていることが多い。

 日本代表の3戦目まであと2日だ。リフレッシュしたことでもう一度チャレンジする気持ちを呼び起こしてもらいたいと切に願う。

analyzed by ZONE World Cup Analyzing Team
データ提供元:opta

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

 ※ワールドカップ期間中、サッカーマガジンゾーンウェブが記事内で扱うシーンやデータの一部はFIFAワールドカップ?公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』で確認できます。
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