【W杯詳細分析・日本-ギリシャ】パス成功率90%、ポゼッション率70%――データ上はこれ以上ない「自分たちのサッカー」 日本に足りなかったのは「勇気」と「選択肢」

その大半が意味をなさなかった日本のクロスボール

 

 ここでイラストを見てほしい。この図は日本代表のフィールドプレーヤーが成功したパス(緑の線)とクロスの軌跡(成功:緑/失敗:赤)を示したものだ。

ギリシャ戦

 後方から斜め横にジグザグで繋がれながら相手ゴール前に運ばれたパスはペナルティエリア前で突然行き場を失う。相手の嫌がるところに縦パスが入ることも、短いダイレクトパスで侵入することもなかった。

 平均身長が今大会中3位という高さを誇るギリシャに、同30位の日本が送ったクロスの数は22本。先にギリシャと戦ったコロンビアが、勝つ確率の低い空中戦を避け5本しかクロスを入れなかったことに比べると実に対照的な数字だ。残念ながらその22本がほとんど意味をなさなかったことを示すのが、ギリシャゴール前を斜めに横切る赤い線だ。

 ザッケローニ監督は勝たなければいけない状況で戦術の代替案ではなく、人の配置の代替案を行った。一方この日のギリシャのサントス監督は主力選手の試合後の怪我や退場という非常事態に対してベテランを投入し、「速攻」を多少犠牲にしながらも自分たちの持ち味である「堅守」を徹底する道を選んだ。そんな相手に日本が足りなかったのは、ポゼッション率でもパスの成功率でもなく、ゴールを奪うためのプレーをする「勇気」と戦術の「選択肢」だったのかもしれない。

analyzed by ZONE World Cup Analyzing Team
データ提供元:opta

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

※ワールドカップ期間中、サッカーマガジンゾーンウェブが記事内で扱うシーンやデータの一部はFIFAワールドカップ?公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』で確認できます。
詳しくは、「LEGENDS STADIUM 2014 – FIFAワールドカップ公式動画」まで

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