アラベスがJ2昇格の鹿児島と提携した理由 来日したCEOに密着、見えてきた狙いとは?

(左から) アラベスのアリツCEO、鹿児島の徳重代表【写真:Football ZONE web】
(左から) アラベスのアリツCEO、鹿児島の徳重代表【写真:Football ZONE web】

各国クラブとのネットワークを生かし「鹿児島のサッカーに合う選手を供給できる」

 アリツCEOと徳重代表から提携に至った経緯や、お互いが期待することなどが説明された。これから始まる大一番に目が行き、この会見の内容を報じるメディアはそれほど多くはなかったが、スペインではサッカー専門媒体の「マジョルカ」をはじめとする多数の媒体が、このニュースを伝えた。昨季前半はリーガで降格争いの主役を演じながら、今季は首位を脅かす存在となったチームの次なる一手は、大きな注目を浴びたようだ。

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 13時、白波スタジアムでキックオフのホイッスルが鳴る。引き分け以上でJ2への切符を手にできる鹿児島の状況も、J3からJ2へ昇格することで様々な面での環境が変わることも、アリツCEOらはよく理解している。あと一歩の惜しいシーンを悔しがり、危険なシーンにため息を漏らした。

 後半29分にMF中原秀人が待望の先制点を叩き込み、10916人の観衆が集まったスタジアムが歓喜に包まれる。選手、スタッフ、そして見守る全ての人にとって長い4分間のアディショナルタイムを経て、ついにその瞬間が訪れた。アラベスの3人も「Congratulation!」(おめでとう!)の後に「“We” did it!」(やった!)と「我々」と表現したところに、彼らの鹿児島への思いが込められていたように感じた。

 試合終了後の昇格セレモニーを終え、興奮冷めやらぬなかで、改めてアリツCEOに鹿児島との提携について話を訊いてみた。

   ◇   ◇   ◇

――鹿児島との業務提携について、アラベス側としてどのような面で魅力を感じていますか?

「実際に鹿児島に来て、とても環境が素晴らしいことに驚きました。そして今日の大事な試合を見ることができて、サポーターの人柄や応援の仕方もすごく良くて、とても楽しいものでした。それから天気も良く、スタジアムから桜島を眺めることができるという環境が、とにかく素晴らしいと感じましたね。そして選手たちの精一杯プレーする姿、戦術的にもしっかりとコントロールできていて、試合がとても魅力的に感じましたし、スタッフやサポーターも含め、精一杯というのが伝わってきました」

――今日の試合で鹿児島はJ2昇格が決まりました。アラベスと提携することによって、どのような将来の展望を持っていますか?

「まずはJ2に上がったということで、これから具体的にどのようなお手伝いができるのか、話を詰めていきます。まずはサッカーの競技面では、我々はフランス、クロアチア、つまり今年のワールドカップで優勝、準優勝した国ですよね。さらに北欧、アフリカのクラブと提携しています。そのネットワークを活用して、鹿児島のサッカーに合う選手を供給することが可能です。スペイン、フランスは育成に長けた国です。その中でもアラベス、(提携している)ソショーは非常に良いアカデミーのシステムを持っている。我々のアカデミーのノウハウを提供していこうと考えています。

 また、マーケティングサイドにおいてもチケット販売のノウハウ、グローバルな視点での新しいスポンサープログラムの開発も企画していきます。我々はホームでバルセロナ、レアル・マドリード、セビージャ、アトレチコ・マドリードと戦うんですよ。そういう応援も可能なパッケージなど、魅力的ではないですか? 我々の持っているあらゆるリソースを提供し、一緒に新しい価値を創出していきたいと思っています」

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