オシムさんの言葉

いつでも全力でサッカーと向き合う真摯な姿勢が人々の信頼を集めるのだろう。 旧ユーゴスラビア代表チーム監督としての手腕や日本サッカー界への貢献、ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるサッカー協会の正常化に向けての奔走など、その功績やエピソードは枚挙にいとまがない。 先月、オシムさんに会うために冬のサラエボを訪れた。 東京で病院に見舞って以来なので6年ぶりになる。 約束通りの時間に現れたオシムさんは若干やせたように見えたが、握手をした手は力強く、また醸し出す雰囲気はやはり独特のものがあった。 取材を終えた後、レストランで食事をとりながらたくさん話をした。 いろんな選手のこと、日本や世界のサッカー、そして未来について。 周りのテーブルの客が、遠巻きに様子をうかがいながら声を掛けるタイミングを待っていた。 その距離感に、人々の彼に対する尊敬を感じた。 帰り際、私の目を真っすぐ見つめながら、「時間はたっぷりある。しっかりと学び、そして考えろ」と言いながら、再び手を差し伸べてくれた。 帰国早々、私はJリーグ特任理事を拝命した。 オシムさんの言葉を胸に、Jリーグの明るい未来に貢献していきたいと思う。   文:宮本恒靖

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