長谷部に漲る“情熱”と久保が吐露した“悔恨” 思慮深きニュルンベルクで見た「日本人対決」

序盤で苦戦を感じ取った長谷部「今日は上手くいかないなと」

 ニュルンベルクはブンデスリーガの直近4試合で1勝3敗、得点4・失点16と、攻守両面で大きな課題を抱えていた。一方のフランクフルトはブンデスリーガ、そしてUEFAヨーロッパリーグ(EL)を含めて公式戦5連勝中で、前節のデュッセルドルフ戦ではルカ・ヨビッチの5ゴールを含む7得点の猛ラッシュで快勝し、ELでもキプロスのアポロン・リマソールをホームで破って風雲昇り龍の勢いで敵地に乗り込んできた。

 しかし戦前の予想とは異なり、試合序盤はホームチームが攻勢を仕掛ける。長谷部誠は中2日で臨んだアウェーゲームについて、試合後にこんな私見を述べている。

「自分はそれほど感じなかったんですけども、やはり連戦の影響はあったかもしれないですね。自分はリベロのポジションで後方からパスワークしましたけど、味方の中盤の動き出しが少し鈍いなとは感じていましたから」

 かたやニュルンベルクの久保は4-4-2の2トップの一角としてプレーしながら、自らに課せられたタスクを全うしようとしていたと言う。

「2トップですが、自分は(トゥーレス・)クノールの後方のセカンドトップのような形でプレーしました」

 この日のキックオフ時間は午後の1時半だったが、この時点で気温は2度まで下がって冬の気配を漂わせていた。しかしスタジアム内のボルテージはホームチームの攻勢も相まって一気に高まり、サポーターの期待は極限まで膨れ上がっていた。

 完全なるアウェーのなか、長谷部は何を考えてプレーしていたのだろうか。

「久しぶりに上手くいかない試合になったなと。主導権を奪えずに劣勢を強いられましたからね。もちろん連勝を目指していましたけども、『今日は上手くいかないな』とも感じていました」

島崎英純

1970年生まれ。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動を開始。著書に『浦和再生』(講談社)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信しており、浦和レッズ関連の情報や動画、選手コラムなどを日々更新している。2018年3月より、ドイツに拠点を移してヨーロッパ・サッカーシーンの取材を中心に活動。

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