イニエスタの体は「質の高いエンジン」 神戸コーチが明かす肉体と日本適応の秘密

ヴィッセル神戸のコンディショニングコーチを務める田中章博氏【写真:高村美砂】
ヴィッセル神戸のコンディショニングコーチを務める田中章博氏【写真:高村美砂】

「自分から心を開いて信頼を寄せ、仕事を進めていくのが彼のやり方」

 そのコンディショニングプランを本人に伝えるにあたり、田中は当初、イニエスタへの提案をどのようにすべきか頭を悩ませたそうだ。相手は世界で名の知れた、経験豊富なサッカー選手だ。しかも34歳という年齢を考えれば、少なからず自分のやり方、信念も備えているに違いない。だからこそ、田中は一方的に自分の考えを押し付けることはせず、あくまで方法の一つとして提案したというが、それに対するイニエスタの反応は、彼が予測していたものとは全く違っていた。

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「最初から、彼は私に対してリスペクトを払いながら、真摯な態度で接してくれました。こちらの提案に対しても『あなたはどう思いますか? まずは、あなたの意見を聞かせてください』と尋ねてくれたし、私の返答にもしっかりと耳を傾けてくれた。その姿からもおそらく、一緒に仕事をする仲間には常に自分から心を開いて信頼を寄せ、お互いの意見を尊重し合って仕事を進めていくのが彼のやり方なんだと思います。それがたとえ、長く一緒に仕事をしてきたわけではない、初めて会う私たちに対しても、です。

 そのスタンスで接してくれたことにはすごく驚いたと同時に、彼の人間性に感銘を受けました。結果的に、彼は湘南戦に(後半14分から)途中出場しましたが、来日後最初にグラウンドに出た日のコンディションを考えれば、間違いなく体はキツかったはずです。それでも、短い日数で最大限に自分の体をフィットさせようという彼のプロフェッショナリズムがなければ、それも実現しなかったのではないかと思っています」

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