遠藤保仁がザッケローニ監督との“コミュニケーションの壁”を否定 「ほとんど理解できている」

 だが、監督の指示は選手たちに正確に伝わらず、ピッチ上は一時混乱した。1人までしか入れないテクニカルエリアには矢野大輔通訳がいたが、業を煮やした指揮官はそのルールを無視して出ていき、大声で直接伝えにいったほどだった。

 言うまでもなく、ザッケローニ監督はイタリア人だ。彼が指示を出すときには通訳を挟むため、タイムラグができたり、正確に伝わりづらいこともある。コートジボワール戦の混乱は、外国人監督が率いることのデメリットである「コミュニケーションの壁」がもたらしたともいえた。

 だが、ザッケローニ監督から全幅の信頼を寄せられるベテランMF遠藤保仁は、問題がないことを強調した。FIFAの公式サイトの記事によると、遠藤はコミュニケーションについて聞かれ、こう答えている。「僕たちはイタリア語は話せません。だから通訳から指示を受けますけど、通常は身振り手振りでほとんど理解できている」。

 遠藤が例に出したのは、手の平を前に出して、両手の距離感を縮めるジェスチャーだ。「こうやっているときは、『コンパクトにしろ』と言っていること。4年間、同じアクションをやっていますから、何を言いたがっているかはわかります」。

 もちろん、ザッケローニ監督が日本人の細かい心の機微までを読み取るのは難しい。監督がフォローできないところをカバーするのは、チーム最年長者である自分の役割だと遠藤は語っている。「コートジボワール戦の当日はかなり落ち込んでいたので、何人かの選手と話しました。終わったことは仕方ないし、時間を元に戻すことはできない。前を向いて、もう1回モチベーションを上げて、戦っていきたい」。

 遠藤のコメントは前向きなもので締めくくられている。

「グループリーグの上位に入れるように、自分自身を信じてベストを尽くしたい。日本のサッカーが何かを持っていることを世界に示す必要がある」

 619日(日本時間20日)のギリシャ戦では先発起用も予想される遠藤。“日本の司令塔”が指揮官の考えをピッチ上で表現し、周りに伝えることができれば、ギリシャ戦の勝利、グループリーグ突破は見えてくる。

【了】

北健一郎●文 text by Kenichiro Kita

 
※ワールドカップ期間中、サッカーマガジンゾーンウェブが記事内で扱うシーンやデータの一部はFIFAワールドカップ?公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』で確認できます。
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