初戦の日本の最大の問題は「どっちつかず」 “臆病な集団”が2戦目以降に生まれ変わるには

象徴的だった前半3分のシーン

 

 日本は通常通り高い位置からボールを奪いに行こうとしていた。相手の最終ラインがボールを持ったらところへ、大迫、本田圭佑、岡崎慎司、香川真司の4人がプレッシャーをかける。

 コートジボワールは日本がプレッシャーをかけてくるのは想定していた。センターバックの間にボランチが1人、時には2人が下りてきて、後方で数的優位を確保してボールを回してきたのだ。相手のほうが2人多い状況では、技術的なミスがない限りボールを奪うのは難しい。

 プレス時、日本陣内ではトップ下のヤヤ・トゥーレに長谷部誠と山口、1トップのボニーに吉田麻也と森重真人と1対2の状況が2カ所でできていた。ここでDFラインを押し上げてボランチを前に出すといったリスクを冒せれば、前線からのプレッシャーがハマった可能性はある。

 だが、それはできなかった。

 象徴的なのは前半3分のシーンだ。日本の前線がボールを追いかけ回しているとき、日本のダブルボランチの長谷部と山口は10メートル以上後方にいた。「ヤヤ・トゥーレがすごく嫌なポジション取りをしていたので、それをケアしていると前に出て行くのがなかなか難しかった」と山口は振り返る。そのため、前線とボランチの間にはポッカリと大きなスペースが空いてしまっていた。

 日本のプレスをかいくぐって、スルスルと上がったティオットが前線とボランチの間にできたスペースに侵入してパスを受ける。フリーで前を向かれれば、日本のディフェンスは押し上げることができない。ヤヤ・トゥーレを経由して右サイドに展開すると、フリーでボールを受けたサロモン・カルーは、DFラインとGKの間を狙ったライナー性のクロスを入れる。ボランチの長谷部が戻ってクリアで何とか凌ぐ。

 試合が始まって3分の時点で“自分たちのサッカー”の根幹となってきた高い位置からのディフェンスが完璧に外されて、チャンスを作られた。その後も状況は変わらない。前線の4人はがむしゃらに追いかけてもボールを奪えず、攻撃のための体力を削り取られた。中盤に空いたスペースはコートジボワールに自由に使われ、日本の守備陣は何度もゴール前へ侵入を許した。

 これは攻撃陣と守備陣のどちらか一方に原因があるわけではない。「ボールを奪うのは難しい」と判断したのであれば、声を掛け合ってプレッシャーを下げるのも一つの手だっただろう。前からプレスをかけるのであれば、リスクを冒してでもボランチが押し上げるべきだった。

 

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