欧州で「新型4-3-3」が流行の兆し リバプールの躍進導く“MFの外を使わせない”守備

(左から)リバプールFWマネ、FWサラー【写真:Getty Images】
(左から)リバプールFWマネ、FWサラー【写真:Getty Images】

守備時も4-3-3の形を崩さず ポイントはウイングの立ち位置

 4-3-3でプレーするチームがヨーロッパで増えてきた。前からあったではないか――と言えばそのとおりなのだが、これまではどちらかと言えば守備の時に4-5-1(4-1-4-1)になっているチームが多かった。現在、流行し始めている4-3-3は、守備の時もそのまま4-3-3であることを基調としている。

 代表格は今季絶好調のリバプールだ。サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノ、モハメド・サラーの強力3トップを擁している。バルセロナも昨季の2トップを止めて、リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ウスマン・デンベレによる伝統の3トップに回帰した。

 マンチェスター・シティはラヒーム・スターリング、ガブリエル・ジェズス、レロイ・サネ(またはリヤド・マフレズ、セルヒオ・アグエロ、ベルナルド・シウバ)の前線3枚。レアル・マドリードもギャレス・ベイル、カリム・ベンゼマ、マルコ・アセンシオ。パリ・サンジェルマンはキリアン・ムバッペ、エディンソン・カバーニ、ネイマール。これだけ強力なFWがいれば3トップにしたくなるのは道理だが、問題はそれでどう守るか、だ。

 これまでの守り方では、両ウイングが引いて中盤のラインを形成していた。ただし、これだとウイングの上下動が多くなって攻撃にエネルギーを残しにくい。そのためメッシやクリスティアーノ・ロナウドのように、絶対的なエースは前線に残して4-4-2で守る方法もあった。いずれにしろ、3トップを前線に残したまま守備をするのはリスキーであり、そんなことをするのはズデネク・ゼーマン監督(元ラツィオ、ローマ監督ほか)くらいだったわけだ。

 ところが、リバプールがすんなりと守備の問題を解決してしまった。

 ポイントは守備時のウイングの立ち位置である。相手のボールホルダーに対して、内側をカットするのではなく斜め外を切る位置に立つ。4-3-3の構造上の弱点はMF3人が固める中央の両脇のスペースだ。マネやサラーの立ち位置は、このMFの外のスペースへパスを出させない守り方になっている。


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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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