森保監督のチーム作りは“トルシエ&アギーレ方式”? 固めすぎずに大枠を作れるか

2年、4年の期間のなかでは、常に新戦力が台頭し負傷のリスクもある

 これまでの日本代表監督では、ハビエル・アギーレとフィリップ・トルシエがこの方式だった。選手を固定せず、60人ぐらいの大きなグループを作ろうとしていた。選手もやり方も固定する監督もいるが、活動日数が短いわりに強化期間が長い代表チームの作り方としては、この方がノーマルだと思う。2年、4年という期間のなかでは常に新しい選手が出てくるし、主力となっていた選手がピークを過ぎる、負傷などでコンディションを落とすことは十分にあるからだ。固めすぎず、大きなグループを作り、方向性だけは共有しておく。

 ただ、この方式だと右肩上がりには強くなりにくい。目に見えて強化が進んでいるようには思えないので、周囲の風当たりも厳しくなるかもしれない。節目になる公式戦で結果を出すことがポイントになるだろう。

 テストを繰り返しながら、本番だけその時点での最強チームを組み上げて結果を残し、またバラしてテストを繰り返す――。そのサイクルにファンも慣れなければいけないが、何より森保監督がそこで手腕を発揮できるかどうかが問われるわけだ。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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