女子W杯決勝に鳴り響いたブーイング 拭い切れないFIFAへの不信感

会長不在の表彰式

 女子ワールドカップカナダ大会の決勝の舞台となったバンクーバーのBCプレーススタジアムに、この日、唯一鳴り響いた大ブーイングだった。
 なでしこジャパンは5日(日本時間6日)の女子ワールドカップ決勝でアメリカと対戦し、2-5で敗れた。
 アメリカがなでしこの連覇の野望を阻み、4大会ぶり3度目の優勝を飾った。アメリカのサポーターが約9割を占めた5万人以上の超満員の観衆は、熱戦に惜しみない拍手を送り続けた。だが、試合後の表彰式でスーツ姿のFIFAの役員がフィールドに設置された壇上に一斉に上がると、スタンドから地響きのような大ブーイングを浴びせかけ た。
 今大会の前に主催者のFIFAは、W杯招致に関連する贈収賄事件で高官に大量の逮捕者が出た。汚職事件の捜査を進めたのは、アメリカの司法当局とFBIだった。このスキャンダルの噴出で辞任を表明したゼップ・ブラッター会長は、昨夏のブラジルワールドカップでも開会式などのセレモニーでスタンドから容赦ない罵声を浴びていたが、この大会は会長として在任期間で初めてW杯の表彰式を欠席していた。
 バンクーバーでこの日、唯一鳴り響いたブーイングでFIFAに対するサッカーファンの拭い切れない不信感が明確となった。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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