レジェンド澤の後継者 キャプテン宮間が女子W杯決勝に導く貴重な先制点

チーム一丸となった勝利

 2011年ドイツ大会に続く女子ワールドカップ連覇を狙うなでしこジャパンは、1日(日本時間2日)、準決勝イングランド戦で2-1の勝利を収めた。先制点を挙げたのは、キャプテンの宮間あや(岡山湯郷)だった。前半33分、DF有吉佐織が獲得したPKを決めた。
 レフェリーの笛が鳴ると、ゆっくりとした助走で相手GKバーズリーと駆け引き。ジリジリとした時間にしびれを切らすようにして宮間から見て右へバーズリーが動く。そこを冷静に左サイドへと蹴り込んだ。ボールがネットに収まると、ベンチに向かって走った宮間。「今大会はなかなかそういう機会も少なかったの で、良かったと思います」と、チーム全員で喜びを分かち合った。
 試合は苦しい展開だった。佐々木監督が「思ったよりも疲労があった」と振り返ったように、なでしこの足は重かった。イングランドのロングボールを多用するシンプルな攻撃に苦しんだ。それでも、「チーム全員の力ですし、ベンチからの声もずっと掛かっているので、チーム一丸となって頑張れている」とキャプテンが振り返ったように、相手の攻撃をPKの1点に抑え込んだ。
 歓喜の瞬間は最後の最後に待っていた。第4審判が表示された後半のアディショナルタイムは3分。その1分以上が経過したところで、右サイドから川澄奈穂美(INAC)が上げたクロスをイングランドDFバセットがクリアし切れずにオウンゴール。「彼女たちにと ってはアンラッキーなゴールでした」と相手を気遣いつつ、「決勝トーナメントに入ってからは、特に、気持ちの強い方だと思います。気持ちで押し切れた」と強調し、勝利への執念が結実したとうなずいた。
 連覇を懸けた決勝の相手はアメリカ。2011年ドイツ大会、2012年ロンドン五輪に続き、大きな世界大会で3回連続の顔合わせとなった。「とにかく優勝することだけを考えてきたので、あと一歩でスタート地点に立てると思う」と、宮間は地に足を着けた言葉を残す。そして、「オリンピックで金メダルを持っていかれているので、ワールドカップは渡さない気持ちでやりたいと思います」と、決勝戦に鋭い視線を向けた。
 長らく日本の女子サッカーをけん引してきたレジェンドの澤が残した「苦 しいときは私の背中を見なさい」という言葉。今大会の宮間は、その力強さを十分に受け継いでいる。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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