ドイツは「ゲーゲンプレッシング」を捨てる? 伏兵はカメルーン? ブラジルW杯展望

<日本>

 個人的には今大会で可能な限り自分たち主導でゲームをコントロールするサッカーにチャレンジして欲しいと願っています。守りを固めて1-0で勝つサッカーではなく、また乱打戦に持ち込み4-3で勝つサッカーでもない。試合の流れを大事にしながら決定機を逃さずに1-0を2-0にして勝ち切るサッカーを目指せるだけのポテンシャルが現代表にはあると思います。

 守備力は、守備的な選手の個人能力とその選手が占める比率で決まるわけでもありません。その逆もまたしかり。チーム全体が迷わず、ためらわずにプレーできるまで自分たちのサッカーを信じ、理解し、トライすることで、組織としての攻撃力と守備力はいくらでも向上します。一番のお手本がなでしこジャパンでしょう。

 BDFL(ドイツプロサッカーコーチ協会)元会長ホルスト・ツィングラフは2011年女子W杯で優勝した日本女子代表を「日本は身体的な不利を素晴らしい技術、徹底された戦術、パーフェクトなタイミングでのパス交換とスペースへの動き出し、チームとしての戦い方で補い、観衆を熱狂させた。優勝するにふさわしいチームだった」と絶賛し、「最後まであきらめないことの大切さを改めて教えられた」と語っていました。

 実際に「最後まであきらめない」とは具体的にどういうことでしょうか。「あきらめるな!」と声をかけ続けることだけではなく、闇雲にロングボールを蹴り続けることでもありません。試合終了の笛が鳴るその瞬間まで、自分達のサッカーを信じ、それにトライし続けることです。なでしこはそれをやり遂げて、世界を驚かせました。チャレンジの先にこそ輝かしい未来が待っている。日本代表の躍進を期待しています。

 

中野吉之伴(なかの・きちのすけ)

秋田県出身。1977年7月27日生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで経験を積みながら、2009年7月にドイツサッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU15チームでの研修を経て、元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU16監督、翌年にはU16/U18総監督を務める。2013/14シーズンはドイツU19・3部リーグ所属FCアウゲンでヘッドコーチ、練習全般の指揮を執る。底辺層に至るまで充実したドイツサッカー環境を、どう日本の現場に還元すべきかをテーマにしている。

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文●COACH UNITED編集部 text by coach unuted / photo by Photocapy

※ワールドカップ期間中、サッカーマガジンゾーンウェブが記事内で扱うシーンやデータの一部はFIFAワールドカップ?公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』で確認できます。
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