【歴代W杯初戦の教訓】ブラジルで儚く散った「自分たちのサッカー」 調整失敗が招いた黄金期の終焉

2014年ブラジルW杯グループリーグ第1戦【画像:Football ZONE web】
2014年ブラジルW杯グループリーグ第1戦【画像:Football ZONE web】

曖昧に済まされた検証、日本代表は単調な堅守速攻へと舵を切る

 それでもこの大会では、まだ逆転突破の可能性が消えたわけではなかった。しかし攻勢な展開が予想された第2戦では、ギリシャが前半で退場者を出し、かえって日本の攻撃を難しくした。もともと守備的なギリシャが完全にゴール前に防波堤を築き、スコアレスで凌ぎ切ってしまう。

 第3戦は、すでに2勝したコロンビアが主力を温存してきた。もし日本が勝利し、ギリシャがコートジボワールを下せば、可能性はつながる。実際に日本は前半終了間際に岡崎慎司が同点ゴールを奪った。

 ところがコロンビアは後半に入るとハメス・ロドリゲスを投入し、カウンターから一気にリードを3点に広げてしまう。こうしてコロンビアとの力の差が歴然とした以上、やはり日本がグループリーグ突破を果たすには、2戦目までに最低勝ち点4が必要だった。大会の敗因は総じて「自分たちのサッカーにこだわった」ことだと言われた。一方でコンディショニングの失敗は曖昧に看過され、やがて日本代表はポゼッションを排した単調な堅守速攻へと舵を切ることになった。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)



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加部 究

かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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